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第12回 アナリストや専門家の「相場見通し」は有用?

2008/02/14

テレビの投資関連番組や、マネー雑誌、あるいは新聞を見ると、評論家や専門 家、あるいはアナリストといった人々が、今後の相場見通しについて語ってい ることがよくあります。

例えば、業界紙では、アナリストなどによる株式市場、為替相場や長期金利の 見通しが毎日掲載されています。

では、このような、専門家の「相場見通し」を参考にして投資行動を決定する ことは有効なのでしょうか。この質問に対する筆者としての答えは、残念なが ら「有効な場合も無効な場合もある」としかいえません。

たとえ専門家であろうとも、資産運用のプロであろうとも、将来の株式市場や 為替相場や金利がどうなるかを常にピタリと予測するのは不可能です。ですか ら、専門家の相場見通しも、それが正しいのかどうかは事前には判断できず、 後になってみないと分からないのです。

個人投資家の中には、「資産運用のプロが言うことなんだから信用できる」と 思っている人も多いと思われます。しかし、実際は、予測が大きく外れること も頻繁にあるという事実を知っておく必要があります。

もっとも怖いのは、こんなケースです。
例えば、今後大きく上昇すると思って投資した日本株が、意に反して大きく下 落しているようなとき、アナリストや専門家の「日本企業の業績は好調で、現 在の下落は海外のサブプライムローン問題が原因で日本とは関係ない。したが って、日本株は割安な水準であり、今後年末までに日経平均株価は18,000円か ら19,000円程度に上昇するだろう」という見通しが新聞記事に載ったとします。

こんなとき、多くの個人投資家は、「確かに日本企業の業績は良いのだから、 このまま持ち続けていれば持ち株の株価も上昇するだろう」と思うことでしょ う。

その結果、アナリストの見通しどおりに、年末にかけて株価が上昇すれば何も 問題ありません。

問題なのは、実際の株価の値動きが、アナリストの見通しどおりにならなかっ た場合です。仮に、年末の日経平均株価が12,000円にまで下落していたとした ら、この見通しを信じていた個人投資家は多額の含み損をかかえ、持株は塩漬 けになり、安く買えるチャンスなのに資金がなくて身動きが取れない、という ことになりかねません。

相場の見通しを予測する人たちは、仮にその見通しが外れたとしても大した痛 手を被ることはありません。しかし、投資家は、その相場見通しを信じて投資 を行った結果、予測が大きく外れれば、投資している自分自身の財産を失うこ とになるのです。

我々個人投資家としては、投資のプロといえども将来の見通しを正確に予測す ることはできない、ということをまず理解しなければなりません。その上で、 たとえプロの「相場見通し」に従って投資行動を決めるとしても、実際の市場 での値動きが、その見通しと異なっているのならば、「その見通しが誤ってい るかもしれない」と思わなければいけません。そして、損失が拡大しない前に、 持株を損切りするなど、自分自身の財産を守るための行動を臨機応変に取る必 要があります。株式投資や資産運用で成功するためには、何よりもまず「大負 け」をしないことが一番重要だからです。


足立武志
公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェッカー取締役

1975年生まれ 神奈川県出身 一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活 動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情報の提供に努めている。

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