2022.7.4
<著者プロフィール> 浜口準之助(はまぐち・じゅんのすけ)
約15年にわたり機関投資家のファンドマネージャーとして株式運用に従事。信託銀行などで主に年金資金の日本株運用を行う。その後約14年にわたり投信運用会社にて投資環境のセミナー講師に携わる傍ら個人投資家として株式運用を行い、「億り人」の仲間入りを果たす。「浜口流コア・サテライト戦略」を提唱し自らも実践している。「醍醐味に満ちたライフワークとして、株式投資に勝るものなし」との基本観から、個人投資家に実践的な株式投資手法の研究を続けている。 社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『黄金サイクルと農耕民族型投資戦略』(パンローリング刊)、ブログ 浜口準之助のテツ・ホテル・グルメ・株式運用 をほぼ毎日更新中、こちらでは旅の話もしている。
浜口です。まずは今回も2週間ごとの定点観測を。前回の当ブログのアップ日(2022年6月20日)以降の「浜口流コア・サテライト戦略」銘柄について、上は株価が6月17日時点、下はその2週間後、株価が7月1日時点のデータです。
ここ2週間で私が行った売買ですが、川崎汽船とアドバンテストを売り乗せし、下落率が高かった三菱商事を買い乗せしています。
またここ数回、当ブログで言及している4385メルカリについては、デイトレベースで空売りと利食いを繰り返していますが、当銘柄は高値から相当に下落、ここからは空売り妙味に乏しいと考え、この仕掛け&手仕舞いは、ここまでとします。ご参考まで、当銘柄の過去5年の月足をお示しします。なお海運株と半導体関連株については、後述します。
日本株の相場観については、長期的には基本、これまでと変化なしです。米国ではインフレ懸念の加速、それに対しFRBによる0.75%の利上げは今後も継続され、それが景気後退につながるとの懸念が台頭しています。日本株については、米国株の下落に引きずられている部分はあり、前述した三菱商事のように、株価が値を消す景気敏感バリュー株も散見されます。が、このような市況関連株の弱い動きは、前回のブログでも書いていますが期間限定的な動き、かつ市場の過剰反応と考えます。
ポイントは中国。上海ロックダウン解除の伴い、今後は景気回復が期待できるので、年後半の世界景気は心配は要らないと考えます。したがって、ここで書いている景気敏感バリュー株が継続して上昇するシナリオは、中長期的には当てはまると思われ、運用スタンスは基本、これまでと変化なしです。
次に8801三井不動産買いと8802三菱地所売りのさや取りについて。 グラフをご覧ください。
8801三井不動産と8802三菱地所の比較チャート。上が直近株価6月3日時点、中がその2週間後、6月17日時点、その下がさらに2週間後、7月1日時点の両銘柄の過去三ヶ月の比較チャート・相対株価を示したものです。
前回、前々回と同様、ここ2週間で目立ったさやの動きは発生していません。従い、両銘柄については、現状は引き続き「待ち」、次の仕掛けのタイミングを待つところと考えます。
一方で、日本郵船買い・川崎汽船売りのさや取りについて。
9101日本郵船と9107川崎汽船(6月17日)
9101日本郵船と9107川崎汽船(7月1日)
9101日本郵船と9107川崎汽船の比較チャート。上が直近株価6月17日時点、下がその2週間後、7月1日時点の両銘柄の過去三ヶ月の比較チャート・相対株価を示したものです。
前回の当ブログで私は、「両銘柄のさやは見事に縮小し、6月17日大引けで両銘柄を手仕舞い、利食いをしました。成功事例と言えます」と書きました。
その2週間後、両銘柄のさやは、さらに縮小しました。6月3日時点の両銘柄のさやは、-180円(株価は郵船が10,840円、川船が10,980円)、6月17日時点では790円(同郵船が9,320円、川船が8,530円)であったのに対し、7月1日時点では1,170円(同郵船が9,130円、川船が7,960円)です。
両銘柄のさやは、平常時に戻った感があります。さやについては引き続き注視、タイミングを見て再度、仕掛けを検討をしたいと思います。
さて、今回のテーマ、「風前の灯火か・・・海運株と半導体関連株」について考えていきたいと思います。前回のテーマが「やはり・・・海運株と半導体関連株は、下落に転じたのか?」でしたので、両銘柄に対する見方については、変化なしです。株価はここからさらに、下放れると考えています。両銘柄の中では特に、半導体関連株が一足早く、下落すると考えています。
まずは半導体製造装置関連銘柄6857アドバンテストについて。 日足チャートをご覧ください。
上が6月17日時点、下がその2週間後、7月1日時点の同銘柄の過去三ヶ月のチャートです。2週間前との比較では下値が切り下がっており、ここから株価が下がると、一段安になると想定しています。
アドバンテストの株価形成については、こちらに掲載されているSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)チャートの動きが参考になります。
当HPに掲載されているこのSOX指数週足を見ると、当指数はアドバンテスト株価に先行しているように思われます。私が、「風前の灯火か・・・」と書いている所以です。
次に海運株について。
お示ししているのは、日本郵船の過去半年の日足、7月1日時点のものです。
https://fbx.freightos.com/ に掲載されている、週次のコンテナ船運賃の推移も、ここ2週間で7ドル安。やはり、天井打ちしているように思われます。
私は、見方に変化がないのに、繰り返し同じ文章を書くことを好みません。海運株と半導体関連株について、下落している背景・今後の見通しについては、前回のブログ(第31回 海運株と半導体関連株は、下落に転じたのか)で書いている通りですので、そちらをご覧ください。
以上です。今回はこの辺で。みなさんの株式運用の参考になれば幸いです。
なお皆さんの株式運用は、くれぐれも自己責任でお願いします。ここは再強調させていただきます。