2022.12.19
<著者プロフィール> 浜口準之助(はまぐち・じゅんのすけ)
約15年にわたり機関投資家のファンドマネージャーとして株式運用に従事。信託銀行などで主に年金資金の日本株運用を行う。その後約14年にわたり投信運用会社にて投資環境のセミナー講師に携わる傍ら個人投資家として株式運用を行い、「億り人」の仲間入りを果たす。「浜口流コア・サテライト戦略」を提唱し自らも実践している。「醍醐味に満ちたライフワークとして、株式投資に勝るものなし」との基本観から、個人投資家に実践的な株式投資手法の研究を続けている。 社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『黄金サイクルと農耕民族型投資戦略』(パンローリング刊)、ブログ 浜口準之助のテツ・ホテル・グルメ・株式運用 をほぼ毎日更新中、こちらでは旅の話もしている。
浜口です。まずは今回も2週間ごとの定点観測を。
前回の当ブログのアップ日(2022年12月5日)以降の「浜口流コア・サテライト戦略」銘柄について、上は株価が12月2日時点、下はその2週間後、株価が12月3日時点のデータです。この二週間の断面で見れば、高配当利回り銘柄は総じて上昇、一方で経済再開銘柄はまちまちであることがわかります。
今回から、海運株は継続してウオッチしていくことを中止しました。海運株は現在、私のポートフォリオには存在しませんし、私の関心度合いも低下したためです。
足元で海運株株価はわずかに上昇していますが、私はこれが今後とも続くとは考えていません。理由は、コンテナ海運市況が大きく下落してるからです。にもかかわらず株価が上がっているのは、こういっては失礼ですが、単に配当利回りが高いことに着目した、不勉強な投資家の買いが需給面で勝っていることが背景にあると思われます。現状、海運株はどこかの段階で減益・減配局面となり、その過程で株価は大きく下落すると考えます。が、それがいつ起こるかは不透明です。一方で当ブログではあくまで、高配当利回り銘柄を中心に買いで収益を期待できる銘柄を紹介したいわけで、この視点から海運株を継続フォローするのは適切ではないと考えました。
ご参考まで、以下は12月16日に公表されているコンテナ運賃指数ですが、暴落と言っていい状況と考えます。にもかかわらず、じり高になっている海運株には強い違和感を感じます。従って当面、海運株は手出し無用と考えます。
ここ2週間で私が行った売買に、特筆すべきことはありません。これまでここで紹介してきた銘柄の長期投資の継続、加えて、これら銘柄群は幸いにも概ね右肩上がりであることから、これら銘柄を用いて買いから入るデイ・トレードを繰り返す日々を送っています。デイ・トレードについては、総じてうまく行ってます。結果については日々、私のTwitterで公開しています。興味がおありの方は、「浜口準之助」名義のTwitterアカウントをフォローいただけばと思います。
日本株の相場観については、今回も基本、変化なしです。米国ではインフレ対応でFRBが利上げを連続させていて、それがオーバーキルとなり、米国が景気後退に陥る可能性が極めて高い状況です。しかし、これは前回のブログでも書いたことですが、日本は、景気後退にはなる可能性は低いと考えます。米国のインフレ懸念は日本の脱デフレをもたらし、加えて海外観光客の増加等、経済再活動につながり、来年前半にかけ、日本株はここで紹介している高配当バリュー株を中心とした、堅調な相場展開を予測しています。 なお米国株に対する見方については、私の別ブログで一足早く披露しています。ご関心ありましたら、こちらも併せてご覧ください。
さて、以下は8316三井住友FGの過去6か月の推移、株価は12月2日時点の日足です。同銘柄はここ3週間近く高値圏での保ち合いとなっていますが、時間の問題で上昇相場に転じるものと考えています。
8316 三井住友FG(12月2日時点)
そして現在、私が最も株価動向に注目しているのが8031三井物産です。下のチャートの通り、史上最高値を更新している状況です。日本が景気後退にはなると予測されるのであれば、このような株価の動きにはならないと考えます。
8031三井物産
この背景については、私の別ブログにて「8031 三井物産の2022年中間期決算が素晴らしかった!シビれたけどな。」 にて紹介していますので、こちらもご覧ください。三井物産の株価については、今後も高値を更新していく展開を予想します。
次にさや取りについて、まずは8801三井不動産と8802三菱地所のグラフをご覧ください。 この組み合わせについて私は、前回のブログで「現在は利確をして以降、次の仕掛けタイミングを待っている段階です」と書きました。現状はどうでしょうか。
上のグラフは12月16日時点の過去3か月、下のグラフは過去5日の両銘柄のさやを見たものです。過去3か月で見れば「三井不買い-地所売り」の仕掛けで行けそうですが、過去5日でみるとこの逆、「地所買い-三井不売り」の仕掛けがベターなようにも思われます。過去3か月の推移は両銘柄の個別ファンタメンタルズを反映したものであり、過去5日は短期な需給を反映したものであると思われるため、個人的には今週、「地所買い-三井不売り」の仕掛けをタイミングを見て行いたいと思っています。引き続き、注視していきます。
続いては5713住友金属鉱山と5714DOWA HDです。
上のグラフは12月16日時点の過去3か月、下のグラフは過去5日の両銘柄のさやを見たものです。私は既に、「住友金属鉱山売り- DOWA HD買い」の仕掛けを行っていますが、ようやく鞘が縮小してきました。今週中に利確のタイミングが来るかなと期待しているところです。
さてここまでで、今回私が考える投資戦略とそう考える背景等については書いてしまいました。このあたりで、私の近況を。
私は最近、ごキゲンなんですよ。なぜって?これまでセミナーなどでアドバイスを行ってきた、浜口流コア・サテライト戦略のコア銘柄。それらはすべて3月決算企業ですが、ここもと中間配が口座に振り込まれてきて、生徒さん(?)から「嬉しいです!!!」報告が相次いでいる。曰く、「株式投資って、こういうふうに儲けるんですね」と。 ちなみにコア4銘柄は一銘柄を除き今期業績上方修正かつ最高益見通し、あと4銘柄すべて増配ですね。繰り返しますが、このコア4銘柄は、8313 三井住友FG、8725 MS&AD (三井住友海上&あいおいニッセイ同和損保)、8508 三菱商、8031 三井物産。
今回が2022年最後のブログ更新となりますが、皆さんの今年一年の株式運用、成績はいかがでしたでしょうか?上記4銘柄、加えてここで紹介し、私自身も保有している5401日本製鉄や9201日本航空に投資している限りにおいては、よほど買いタイミングが悪くなければ、プラスリターンが得られていると思います。少なくとも、テクノロジーに代表されるグロース銘柄に投資する戦略に対しては、パフォーマンの優勢性は、明らかだったはずです。
来年も基本、今年の運用方針に変化はないと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。
なお皆さんの株式運用は、くれぐれも自己責任でお願いします。ここは再強調させていただきます。以上です。今回はこの辺で。みなさんの株式運用の参考になれば幸いです。