Q. タペストリー第二理論というのは? A. タペストリー第一理論で出てきた石油会社と外為市場を例に挙げると、“この2つが扱っているポジションは違う”ことがわかると思います。 石油会社が買ったドルに代表されるような実需(買い切り)や長く保有する投資家が多くいる場合、長期間にわたって保有することで相場に長い影響を与えます。つまり、コアの円高圧力といわれるような、非常に長い影響を与えるわけです。 でも、先ほど経常黒字が累積でも300兆円しかないと話したように、実需の金額には限りがあります。それを超えた分を売買すれば、買戻し売り戻しをします。これは何かというと、外為銀行などが行っている投機と同じです。投機というのは、限られた期間内に大量の資金を使って相場を動かす力なのです。 投機が目的としているのはキャピタルゲインです。上がると思って買う、上がったら売る、下げれば損切りでやはり売るわけですから、ある期間を取ってみると、ネットの売買はゼロなのです。つまり、相場に縦方向の力、ボラティリティを与えているわけです。実需や投資といった保有が横軸方向の力を与え、投機が縦軸方向の力を与えることを、タペストリー第二理論と呼んでいます。 つまり、価格はポジションの保有期間によって動くというのが、タペストリー第一理論。相場は、投機と投資とが、縦糸、横糸となって編み上げているタペストリー、つまり飾り絨毯のようなものだというのが、タペストリー第二理論です。
A. 「すべての真実は価格の動きにある。だからこそ、それに反応しなくてはならない」という考えがプライスアクション理論です。 例えば、アナリストがある企業を調べるとします。彼らは企業を調べることの専門家です。ところが、彼らが調べたファンダメンタルズの良し悪しと株価との関係はあまりないのです。 また、彼らがよりどころにしているファンダメンタルズの数値はあいまいです。例えば、会計基準が変われば収益が変わるわけです。同じだけの収益を上げていても、会計基準が変わっただけで結果が変わってくる。または、粉飾のように、故意に変えていることもあります。彼らは、そういうことに目をつむってといいますか、国や企業が与えてくれた数値が正しいということを前提として動いているわけです。 ここで、冷静に「儲かるというのはどういうことか」を考えると、結局は価格の動きになるのです。例えば、100円のものが200円に上がれば儲かるのです。つまり、価格が動いてはじめて損益が確定するわけですから、それならば最初から価格のほうに注目してというか、少なくとも価格のほうに重心を置いておけばいいのではないか、ということなのです。 もちろん、そうはいっても将来に何が起こるのかわからないので、一応、ファンダメンタルズも見ておくことは必要です。ですが、これはあくまでも予想ですから、思惑通りにいかないのであれば、つまり価格が逆に行けば速やかに反対売買をしましょうということが、プライスアクション理論です。
A. そういうことをやって収益を上げている人が本物なんだと思います。これまでの投資銀行やヘッジファンドのように、実際のリターンは数パーセントなのに、レバレッジで十倍、二十倍に見せかけていることがありますが、これは本物ではないですよね。力任せに動かしているだけですからね。 大きな資金を扱えるところは自分で相場を動かせるのではないかと思ってしまうんですね。例えば、小さな川の流れであれば変えられるかもしれませんが、もっと大きな川の流れになると、ひとたまりもなくやられてしまうわけですよ。ですから、逆に言うと、小さな川の流れを探す人もいるわけですけどね。でも、それは一時的には成功しても、長くは続かないんです。そんな小川は見捨てられて乾上がるか、コストを払い続けて維持するかしかなくなります。 相場の奥は深いんです。
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