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『本気の海外投資完全マニュアル』、『タイ株投資完全マニュアル』、『タイ株企業情報編特選41銘柄』(いずれもパンローリング刊)などを執筆し、新興国投資を自ら実践する投資家である石田和靖氏が、新刊 『ドバイ株投資完全マニュアル』の出版を記念して、ドバイ株投資の魅力についてお聞きしました。
Q.
「本気の海外投資シリーズ」4作目の完成おめでとうございます。そもそも石田さんが海外投資に目を向け始めたきっかけを教えてください。 A. 海外投資に目を向けたきっかけは、ズバリ日本株で勝てなかったからです(苦笑)。 友人に影響を受けて、ちょこちょこ株式投資を始めたのが今からおよそ10年前ですが、友人がほいほい利益を確定させているのを見て、私はというと、株を買えばどんどん下がり、売ればどんどん上がり、なんて自分はセンスが無いんだ!と涙を流したものです。その頃は、株よりも競馬のほうが断然儲かっていましたね(笑)。 そんな感じで日本株で散々だったときに中国株投資に出会いました。これから成長していく国の基幹産業に投資をしておけば、日々の値動きなど気にせずにいずれ大きく育つ。その国の成長に資金を投下して、10年以上ほったらかし!こんな投資手法が自分には合っているし、その国の経済や文化、歴史などを調べてその国がますます好きになる。気になったら実際に現地へ行って空気に触れてみる。その繰り返しが楽しくて、海外投資の魅力にはまっていきました。 中国株が大きく育ったのを見てきたように、他のアジア諸国にも大きな可能性があると思い、投資対象を拡げて行きました。今ではその興味は、中東→アフリカ方面へと傾いています。
A. 今から10年ほど前に、日本でビジネスを営む外国人経営者から「これからドバイは大きく発展するだろう」ということを耳にたこができるほど聞いていました。彼らは日本の製品をドバイへ輸出し、またドバイから東欧、西アジア、アフリカ大陸などの巨大市場へ再輸出していくのですが、ドバイが欧州・アジア・アフリカの中心に位置するという地理的に恵まれた環境で、貿易ハブとして急速に発展していることを聞き、香港やシンガポールなどと重なるイメージを持ちました。 そして2年ほど前に、香港で証券会社を経営する知人から、「ドバイは金融の中心になる。当社でもドバイ株を扱う方向で動きたい」ということを聞き、一緒にドバイへ行く計画を立てました。そして、実際にドバイの地を踏んでその光景を見たときに、わずかな興味が強い確信に変わっていました。
A. まず、疲れました(笑)。どこに行ってもいつもそうなのですが、航空券やホテル代、また自分の時間、すべて自腹で本気で飛んでいくわけですから、「もとをとろう」という意識が強すぎて、事前に色んなところにアポをとりすぎて、スケジュールがぎっしりになります。今回ドバイは毎日気温40度を超えていました。また各アポイント先は冷房がキンキンに冷えていますから、外と中の温度差だけでもかなりを体調崩しますしね。移動はもちろんタクシーですが、スケジュールを詰め込みすぎて、ぐったり疲れました。でもなんか達成感のある疲れで、気分は爽快です。これに懲りずに同じことを続けたいと思います。
A. もともと若い頃会計事務所で仕事をしていましたので、その知識のおかげで、株をはじめた当初から各種指標などはすんなり理解できましたし、企業のBSやPLをぱっと見ただけである程度その企業の輪郭も見えてきます。これは大いに役立っています。 また、その頃の私の顧客が、なぜかパキスタン人、ミャンマー人などが多く、香港やシンガポール、ドバイなどの話は彼らからたくさん聞いていました。彼らは自動車やパソコンなどの日本製品を、各都市から再輸出する仕事をしていましたので、香港やシンガポール、ドバイに私が興味を持つきっかけを作ってくれたのは彼ら外国人経営者です。
A. ルールは、まず現地にキーマンを作ること。日本に住んでいる以上、現地の情報収集には限度があります。これはいつも人づてで紹介してもらい、最初はメールでやりとりするのですが、色々やりとりをしているとそのうち話が盛り上がってきて、現地で会ったり日本で会ったり、いずれ必ず会うようにしています。例えば、どこかの証券会社の社長とか、運用会社のアナリストとか、銀行の支店長とか、金融に長けている人脈を一人以上現地に作ることです。現地の情報ほど安心できるものはありませんし、この人と人とがつながっていくのがとても楽しいのです。例えば、香港の人がドバイの人を紹介してくれて、見事私はドバイにどっぷりと浸かってしまったわけですが、今度はそのドバイの人がサウジの人を紹介してくれています。次はサウジにつながって、その後はどこへつながるんでしょうか・・・。自分でも楽しみです。先日ドバイで、カメルーン人の大手仏銀バンカーと出会う機会があったので、次はカメルーンに行ってしまうかも(笑)
A. 国やセクターによってそれぞれ異なるリスクがたくさんありますから、一言で表現するのは難しいのですが、海外に投資をする上ですべてに共通するリスクというのは換金リスクと情報の正確性のリスクじゃないですかね? 換金リスクというのは、私たち日本人が投資をする以上いずれ日本円に戻さなくてはならないかと思います。しかし日本をはじめとして各国のレギュレーションがいつどこでどう変わるかは誰にも分かりません。日本の金融庁なども海外との送金を規制するなど、国際化に逆行した動きが見られなくもありません。このようなことを考えると、日本から一歩も出ない人は日本国内だけで投資をしたほうがよいと思います。海外投資は、将来、生活やビジネスの拠点を日本以外にも持とうと考えている方や、ちょくちょく海外旅行へ行かれる方、そんな方に向いています。 また、情報の正確性のリスクというのは、最近退職金をBRICsやVISTAなど新興国投資に向ける方が増えているようですが、行ったことも無いどころか、その国をほとんど知らずに、金融機関のセールストークをそのまま信じて、新興国ファンドを買っている方が多いようです。ある程度投資先の状況を自分なりに調べて、納得した上で自己責任で新興国に投資するべきですね。その上で投資している人は、急落時に狼狽売りなどは絶対にしません。むしろバーゲンだと思って買い足すという行動に出るでしょう。
A. まずは地球の歩き方です(笑)というのも、本屋に行ってもドバイの本はほとんど皆無で、旅行ガイドブックですら、地球の歩き方シリーズでしか出版されていません。まずは地球の歩き方を読んで、旅行に必要な情報を入手しました。そして、インターネットで色々と情報を探しましたが、市場にしても経済にしても概略的な情報は入手できましたが、根本的な金融機関の情報、取引の方法、取引のルール、個別の企業情報などはなかなか探し当てることができず、四苦八苦しました。中東というのは日本からとても遠い国で、本当に情報が少ないんだなぁというのを痛感しました。であれば、そのような本を自分で作ってしまえと思い(笑)、ありとあらゆる人脈を駆使して、ドバイの金融関係者につないでもらいました。最初はしつこいくらい毎日色んなことをメールで質問していました。そこがドバイの市場や経済の勉強を始めたスタート地点です。そのように毎日メールでやりとりをしていく中で、「いつドバイに来るんだい?」とか、自然とそんな話になります。「百聞は一見にしかず」とは言いますが、本当にそう思います。メールだけで情報は確信になりませんが、自分の目で確かめることによって、伝聞は確信に変わります。
A. インターネットで十分事足りる情報が得られます。しかし、英語のウェブサイトがほとんどなので、少しづつ英語の勉強も必要ですね。例えば以下のようなサイトがありますが、これだけでもすべてをチェックするのは大変です。ひと通りアクセスしてみて、馴染みやすいサイトを2つか3つ程度チェックしていれば、それだけでもだいぶ豊富な情報源になりますよ。ちなみに私個人的にはGulf Newsが好きです。ドバイに行っても、朝必ずホテルの部屋に配達されていますから割と馴染みがあります。でももちろんすべて英語ですから、すべてを読みこなすのは大変でとても時間がかかりますけどね。
A. まずは地球の歩き方です(笑)。ドバイに何度も行ったことがある方はいいとして、一度も行ったことが無い方は、まず株式市場とか経済とかそれ以前に、ドバイの雰囲気を理解する必要がありますし、地球の歩き方は写真が豊富で簡単な歴史や経済、文化なども掲載されていますから、読み物としても楽しめます。また、ドバイ初心者も上級者も、すべての方に特におすすめしたい本として、『ドバイがクール 世界ナンバーワンずくめの楽園都市』(槙島 公 著/三一書房) があります。槙島先生のこの本は、とても読み応えがあり面白いです。ドバイの多くがこの一冊で理解できるかと思います。おすすめです。
A. ドバイ株投資完全マニュアルは、世界から注目されているドバイ証券取引所に、個人投資家が本気で挑むための、日本で初めての本格的なマニュアル本です。ドバイはこれまで小さな市場でしたが、今年の4月あたりから、HSBC、メリルリンチ、ゴールドマンサックスなどの大手機関投資家の資金が徐々に入りつつあり、本格的な成長プロセスに入りつつあります。世界の建設クレーンの3割がここに集結し、GDP年率成長11%を2015年まで継続するドバイストラテジックプラン2015が進行中、そしてペルシャ湾岸6カ国単一通貨の導入と変動相場制への移行など、今後10年以上に渡って経済的イベントが目白押しのドバイです。
BRICs?VISTA?・・・本書でそれ以上を体感してください
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