システムトレーダー 斉藤正章氏 Q. 新刊 『「株」勝率80%の逆張りシステムトレード実践テクニック』の発売おめでとうございます! 新刊の読みどころを教えてください。 A. 前著では、初心者への配慮からわかりやすさを重視していたため、リスク管理等といった重要な部分の解説については、簡略化せざるを得ませんでした。 しかし、今回の著書では、逆張りを実践するために重要となる「フィルター」や「リスク管理」に重点を置いているため、より実践的な内容になっています。 また、特定のやり方を強要するのではなく、人それぞれの運用方針に合った方法で、「可能な限り機械的に実践できること」を最大のテーマとしました。
A. どのような戦略にもメリットとデメリットがありますが、逆張りについていえば、売買のチャンスが特定の時期(マーケット全体の暴落時)に集中しているという特徴があります。 これは、売買のチャンスが少ないと取ればデメリットということにもなりますが、裏を返せば「年に数回のチャンスのみにトレードすればいい」ということでもあります。 ポジションを保有している期間が限られているということは、資金が空いている時期が多いということですので、順張りなど他の戦略と併用しやすいのがメリットでしょうか。
A. どのようなことが起こっても、システムトレードの環境が根本的に覆されるようなことはないと思います。 ただ、システムトレードというのは「過去に起こったこと」をベースとして戦略が作られるため、過去に例のないことが起これば、一時的に機能しない場面もあり得るでしょう。 例えば、今回の世界的暴落は歴史的に見ても最大級ですので、逆張りなどで過去と同等のリスクをとっていた場合には「最大ドローダウンの更新」というものを受け入れなければならないわけです。 もちろん、今回の世界的暴落も今後の未来においては歴史のひとつとしてデータに蓄積されるため、将来のトレードに役立てられることになります。
A. 私が日経225先物(miniを含む)の売買を始めてから気づいたことは、「ルールが単純で1トレードあたりの利益が小さいルール」ほど最近になって機能しなくなりつつあるということです。 具体的には、売買が寄付きと引けで完結するようなデイトレード型のシステムはエッジ(優位性)が衰えているものが多いように感じています。 一方、1日に何度も売買するような完全デイトレード型のルールには多くのエッジが残っているのが魅力です。デイトレードには場中の動きを監視していなければならないというデメリットがありますが、最近になって証券会社などがリリースし始めた自動売買ツールを使うことによって、売買を完全に自動化することも可能となりました。 今後はこのようなツールを積極的に活用した自動売買に力を入れて研究していきたいと思います。
A. 上記の回答で「ルールが単純で1トレードあたりの利益が小さいルール」ほど最近になって機能しなくなりつつあるということを指摘しましたが、その典型的な例について挙げさせていただきましょう。 日経225先物のとくにデイトレードにおいては、基本的に売りが有利といわれています。 (日経225先物自動売買システムトレードセミナーより) 極端な話、毎日寄付きで売りを仕掛け、引けで決済(買い戻し)するという単純なルールでも過去には相当な利益をあげていました。 以下の図をご覧いただいてもわかるとおり、2003年くらいまでは、ほぼ一方的に資産が右肩上がりとなっており、日経225先物の上場時から2002年の末までに毎日1枚売っているだけで、4400万円以上の利益が得られたのです。
毎回、日経225先物を1枚トレードした場合の検証結果 (往復手数料は2100円) しかし、ここ4〜5年は資産が横ばいとなり、明らかにエッジがなくなっているのがおわかりかと思います。 つまり、単純に「日経225先物を毎日売る」というルールは機能しなくなっているわけです。 しかしながら、日経225先物は売りが有利という傾向が覆されたわけではありません。 例えば、仕掛けや決済のタイミングをずらしたり、ロスカットを設定するだけでも昔から売りが有利な傾向は崩れていないからです。 このルールが機能しなくなったのは、寄付きと引けに同一の注文が集中するというインパクトによるものではないでしょうか。
A. 最近読んだ本の中では、『FX&日経225先物 システムトレード勝利の方程式』(日本実業出版)、『ヘッジファンドの売買技術』(パンローリング)の2つは、システムトレーダーには面白い内容だと思います。 また、実は本はあまり読まないほう(とくに投資本は)で、せいぜい月に1冊程度といったところでしょうか。
気になる研究結果については、今後のセミナーでもそのヒントが明かされると思いますが、 12月6日(土)には、「勝率80%の逆張りシステムトレード実践テクニック」出版記念セミナー、そして、2009年1月には、投資戦略フェア 2009へ講演を予定されていますね。それぞれのセミナーにむけて、意気込みをお願いいたします。 A. 今年は一生に何度体験できるかわからないような波乱の相場で、これまでのやり方を深く考えさせられる1年でした。 ある意味では、このような時期にセミナーを開催することができるのは、私にとっても皆さまにとっても非常に良いことではないでしょうか。 出版記念セミナーや投資戦略フェアの中では、今後のマーケットで生き残るための私の考え方などをお話しさせていただければと思っています。
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