アレキサンダー・エルダー博士インタビュー
2006年11月、都内某所でアレキサンダー・エルダー博士に話を伺いました。 今回の来日は、6月に東京で開催されたセミナーが大反響を呼んで。 博士のセミナーは、著書『投資苑』『投資苑2』のエッセンスが分かりやすくまとめられており、かつ実践的なため人気があるのだそうです。 ただし、博士の著作はその2作だけでなく、3作目『Entries & Exits』を06年に上梓されています。日本でも『投資苑3』として2007年春に出版の予定です。 同書は前2作と趣向が大きく異なるとエルダー氏は指摘しています。
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――近刊 "Entries & Exits" と 前2作との大きな違いはなんですか?
『投資苑』は、主にトレードの基本について書かれている。『投資苑2』はその延長上で、前作をフォローするものだ。したがって、最初の読者には、まず『投資苑』を読んでもらいたい。2作が重なっている部分は大体20%未満だ。
一方『投資苑3』はまったく別に考えてほしい。これは16人の第一線で活躍する優秀なトレーダーたちへのインタビュー集である。
――その点、『投資苑3』はトレードについて深く考察されていると?
同書では、老若男女、株式・先物・オプション・FX市場、セミプロからプロトレーダーまで、さまざまなタイプのトレーダー16人にインタビューをしている。読者はどのタイプのトレーダーが自分に合っているか、逆に自分に合っていないか分かるだろう。そして自身の特性に合ったトレーダーから多くを学ぶことができるだろう。
その意味では『投資苑』『投資苑2』を読み終えて、自分のスタイルを探している人におすすめだ。ビギナーから上級者まで、それぞれの視点で学ぶところがあるはずだ。
――あなたはシステムトレーダーではなく、ディスクレッション(裁量)トレーダーですよね?
いかにも。
――機械的なシステムトレードをする人も『投資苑3』に含まれているのですか?
そうだ。私は私の立場から彼・彼女らのトレードを批評している。
――あなたは機械的トレードはしないのですか?
私はしない。なぜなら、市場は常に変化するからだ。ただし、私はメカニカルなトレードを信頼していないが、それが合う人もいるのは分かっている。それに機械的トレードにせよ、設定する数値(パラメータ)では裁量が働く。
――逆に16人のトレーダーたちに共通している点はなんでしょうか?
「エキセントリック」という意味だ。普通じゃない。群集と同じ方向に歩くタイプではない。
――精神分析医という職業が執筆に役立ったのでしょうか?
精神分析という意味では関係ない。しかし、職業柄、質問や診断はうまくできたと思う。話を深く追求することができたという意味でね。
――エルダー博士は初めどのようにトレードを学んだのですか?
(即答で) お金を失ったことだ。教師やエンジニア、医者になるには、大学に通って本を読んで勉強をする。時間をかけて学習をするわけだ。どうしてトレードで儲けることだけが別だといえるのだろうか。何かを学ぶには、本を読み、経験をつみ、学び続けることが重要だ。
――2006年の日本株市場は方向性に欠け、昨年に比べて難しかったという声をよく聞きます。
しかし、6月に開催したセミナーを聞いた人なら、今年後半に結果を出されているのではないでしょうか。目先の底入れ間近と言いましたから。
――「 DVD 投資苑 〜アレキサンダー・エルダー博士の超テクニカル分析〜」「DVD トレード成功への3つのM 〜心理・手法・資金管理〜」 のことですね。あなたの手法のエッセンスが詰まっているので、非常に参考になりました。今回の来日では、別のことをお話になったのですか?
基本は同じだ。ただ私は「今」の相場を材料に話をするので・・・。
――その意味で今の相場で注目されているのは?
ドルを弱気に見ている。
――それは ファンダメンタル的にもテクニカル的にもですか?
そう。両方だ。ファンダメンタルズで話をすれば、最近の選挙で民主党が勝ったため、米政府の政策が内向きになっている。つまりマネーサプライが増加するというわけだ。これはドル安の要因となるだろう。
――最後に、日本のトレーダーにオススメの一冊を教えてください。
古典的名著なら、ジェシー・リバモアについて書いた 「欲望と幻想の市場 - 伝説の投機王リバモア」(東洋経済新報社)
テクニカル分析好きなら、ジョン・マーフィーの「先物市場のテクニカル分析」(きんざい)
心理を学ぶなら、マーク・ダグラス「ゾーン」と「規律とトレーダー 相場心理分析入門」(パンローリング) をおすすめする。
――ありがとうございました。