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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2024/07/31 13:48, 提供元: フィスコ

戸田工業 Research Memo(8):中期経営計画「Vision2026」を策定(2)

*13:48JST 戸田工業 Research Memo(8):中期経営計画「Vision2026」を策定(2)
■戸田工業<4100>の中長期の成長戦略

(3) LIB用材料
同事業の主体は連結対象として正極材料の前駆体を扱うカナダの戸田アドバンストマテリアルズが連結売上の対象であるが、主力は持分対象のBTBMである。このため、今回の「Vision2026」において具体的な売上高、利益率目標の提示がなされなかったが、ビジネスパートナーであるBASFとグローバルな需要拡大に対応して事業拡大を図る。現状、BTBMの提供する主な正極材料はハイニッケル系であり、高級車は航続距離などの点でニッケルコバルトアルミン酸リチウム(Hi-Nickel NCA)の採用が継続すると見られる。PPESへNCM系正極材料の納入を開始しており、またハイニッケル系正極材料の年間生産能力をバッテリーセル容量として45GWh分である6万トンに引き上げ、2024年後半に生産を開始する計画である。BTBMは従来NCA(円筒型電池)正極向けが多かったが(国内トップは住友金属鉱山<5713>、2位がBTBM)、PPESへ納入するのはNCM(角/ラミネート型)正極向けであり、国内では日亜化学工業(株)が供給しているが、今後のトヨタ自動車の国内EV戦略とともに拡大が期待される。なお戸田アドバンストマテリアルズは納入先の正極材料メーカーがEV車向けに供給しているが、足元はモデル末期のため苦戦が続き、2025年3月期は収益の低迷が続く見通しにある。挽回策として次世代モデルへの対応も進めているが、その成果が出始めるのは2026年3月期以降となる見通しである。一方、トヨタ自動車が米国において電池工場に総額139億ドルを投資する計画を発表し、2030年には年間生産量が30GWh以上に達する見通しであることから同社も新規ユーザーとして参画できる可能性もあり、その成果が待たれる。ただし、世界的にEVに対して見直す機運もあり、実際、パナソニックホールディングスが国内工場の稼働率低下などを理由に2024年6月にEV向け電池事業について2031年3月期までに3兆円超を目指す計画を一部修正、時期未定とする動きなどもある。このため、車載用LIB関連事業は長期的には成長が期待できるものの、しばらくは収益が停滞する状況もあり得る。