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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2024/08/15 16:33, 提供元: フィスコ

アクセル Research Memo(3):パチンコ・パチスロ機向けファブレス半導体企業(2)

*16:33JST アクセル Research Memo(3):パチンコ・パチスロ機向けファブレス半導体企業(2)
■アクセル<6730>の事業概要

(2) 新規事業関連
「新規事業関連」セグメントとして、機械学習/AI及びブロックチェーン技術(Web3.0)領域をターゲットにした各種ソリューションの提供や開発支援コンサルティング、IPの販売、ミドルウェアソフト「AXIP」シリーズの販売等を行っている。同社がLSI開発販売関連で培ってきたアルゴリズムやハードウェア・ソフトウェア開発といった様々なレイヤーの技術・ノウハウが差別化要素となっており、顧客の多様なニーズに対応することで新規事業を拡大していく戦略である。まだ、いずれの領域も売上規模は小さく、先行投資段階の位置付けとなっている。そのほか、医療機器や産業機器などの組み込み機器用G-LSIも「新規事業関連」に含まれている。

a) 機械学習/AI領域
機械学習/AI領域では、独自開発したエッジ推論向けディープラーニング・フレームワーク「ailia SDK」を中核に展開している。「ailia SDK」の特徴は、最新モデルを含めて300種類以上のAIモデルをすぐに活用可能なこと、GPUの積極活用により世界最高水準の推論処理スピードをエッジ側で実現可能なこと、顧客が望む実行環境に柔軟に対応可能なクロスプラットフォームに対応していることの3点が挙げられる。特に、クロスプラットフォームに対応していることは、開発者にとって使い勝手の良いフレームワークとして評価の高いポイントとなっている。

AIシステムの構築には、「学習(ディープラーニング)」と「推論」の両プロセスが必要となるが、国内では推論領域のコア技術を持つAI事業者が少なく、GoogleやMicrosoftなど海外大手プラットフォーマーのエンジンを利用して、自社のディープラーニング・フレームワークと組み合わせて開発しているケースが多い。同社の推論フレームワークは、海外大手と同水準の高速処理性能を持っており、ほかのAI開発事業者との差別化要因となる。また、自社で推論フレームワークも持つことで、あらゆる顧客の要望に対して柔軟かつ迅速に設計変更を行える点も強みとなる。

ビジネスモデルとして、「ailia SDK」をベースとしたソリューションパッケージの提供や受託開発・導入支援、ロイヤリティ収入の獲得などが進み始めており、今後は2024年2月にβ版をリリースしたAIによるDXアプリ「ailia DX Insight」を中心に拡販を進め、将来的には普及させた「ailia SDK」や「ailia DX Insight」によるロイヤリティ収入や自社製品(SaaSビジネス)での収益拡大を目指している。

「ailia DX Insight」とは、AIをパッケージ化し、セキュアな環境下で誰でも手軽に企業やチーム内のデータをChatGPTに取り込むことを可能としたDXアプリで、WindowsやmacOSのネイティブアプリとして実装している。ChatGPT以外にも、AIを使用した高精度な音声認識や議事録作成、テキストからの画像検索、OCRなど、様々なAI機能を搭載しており今後もさらに機能の拡充を図っていく予定にしている。「ailia DX」の強みは、高セキュアな環境構築が可能な点と、「ailia SDK」の開発で培ったノウハウを生かして高速処理が可能な点が挙げられる。特に、後者は生産性向上に直結する部分であり、高セキュアという類似のソリューションを提供する他社が持たない部分である差別化要因になると弊社では考えている。高セキュアな環境構築については、従来企業内の文章をChatGPTで扱うには、文章をすべてサーバにアップロードする必要があったが、「ailia DX」では企業内の文章をオフラインで情報処理し、検索で見つかった一部の文章だけをサーバにアップロードする仕組みとすることで可能としている。またローカルLLM(大規模言語モデル)を使用することも可能で、ユーザーが自社内にローカルLLMのサーバを用意すれば完全セキュアな環境を構築することも可能となる。このため、高いレベルでの情報セキュリティ対策が求められる企業や部門での需要が見込まれる。

利用シーンとしては、営業部門やカスタマーサポートセンター、研究開発部門などでの活用が想定される。営業部門などではユーザーの問い合わせに対して、同アプリを用いて自動回答したり、会議の議事録をAI音声認識機能により自動作成したりするといったことが可能になる。また、研究開発部門では調査や翻訳作業に利用することで生産性の飛躍的向上が期待できる。

b) ブロックチェーン技術(Web3.0)
同社はブロックチェーン構築に関するコア技術や取引基盤を支えるハードウェア技術、セキュリティ技術(アルゴリズムによる暗号化技術)を有しており、同領域の事業開発を進める企業やノウハウを持つ企業等と協業し、ブロックチェーン技術を基盤とした各種ソリューション等の開発を推進していく方針である。

c) ミドルウェア製品(AXIP)
ミドルウェア製品では、主にゲーミング市場向けに画像及び音声圧縮技術を中心としたミドルウェア「AXIP」シリーズの開発販売を行っている。製品としては、ムービーミドルウェアの「H2MD」※1や超解像「GRADIA(グラディア)」※2、低CPU負荷・低遅延を実現したサウンドミドルウェア「C-FA(シーファ)」、HDR対応超高圧縮ムービーミドルウェア「LESIA(リーシャ)」、ファイルパッキングミドルウェア「VUCKET(バケット)」※3、カジノ・アーケードゲーム向けムービーミドルウェア「AXVC」などを揃えており、業界最高水準のミドルウェアを多機能パッケージとして販売することで付加価値を高めている。企業・アプリごとに固定または売上連動型のロイヤリティ収入を得るビジネスモデルとなる。

※1 ブラウザで動画を再生できる動画コーデックライブラリで、複数動画の同時再生や透過レイヤー(動画の重ね合わせ)制御が可能なこと、CPUの負荷が少ないことなどが特徴となっている。
※2 超解像とは、ディスプレイに表示される文字や絵などを拡大したときに、通常はジャギー状(ギザギザ状)になってしまう輪郭部分を滑らかで自然な状態に補正する技術。
※3 自動実行型の圧縮ファイル・ソフトウェア、VUCKETは画像・音声等の大容量ファイルを1つにまとめる機能だけでなく、ファイルの破損チェックや暗号化等にも対応している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《HN》

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