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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2024/12/25 16:08, 提供元: フィスコ

ステップ Research Memo(8):授業の質を重視した堅実成長と新たな挑戦

*16:08JST ステップ Research Memo(8):授業の質を重視した堅実成長と新たな挑戦
■ステップ<9795>の今後の見通し

(2) 高校生部門
高校生部門では、授業の質を維持しながらスクールを増やす方針のため、新規開校は教師のリソースを確保してからとなる。こうした取り組みを続けてきた結果、大学合格実績もここ数年で躍進的に伸び、神奈川県内の公立高校生を主体とした学習塾としてはトップレベルのブランド力を有するまでになった。2024年12月に横浜校の増床を実施したが、今後も充席率の高い校舎については移転・増床などを検討する方針だ。新規校舎についても前述したように不動産物件が以前よりも見つけやすい環境になっていることから、2025年以降に開校する可能性はある。特に、川崎エリアについては現在、1校もないことから有力候補となる。

ただ、当面は横浜校などの満席状態の解消を目指すことを最優先課題としている。横浜校は横浜翠嵐高校の生徒の通塾エリアであり、同校の生徒を囲い込むことができれば、難関大学の合格者数も一段とアップすることが容易に想像できるためだ。現在は満席状態が続いているため、本来であれば横浜校に通塾していた生徒が競合塾に流れ、機会損失になっている可能性がある。実際、県内で横浜翠嵐に次ぐ難関校と位置付けられている湘南高校では3年生のうちSTEP生の占有率が45%と半分近くを占めているのに対して、横浜翠嵐高校では13.4%にとどまっていることからもこうした状況がうかがえる。

(3) 学童保育部門
「STEPキッズ」は、知的好奇心を育む豊富なプログラム(15種類)を差別化戦略として市場を開拓する可能性は十分あると弊社では見ている。あとはそれを支える人材育成と組織体制の構築がカギを握ることになる。学童保育に必要とされる人材は学習塾の教師とは異なる部分も多く、子どもの可能性や潜在能力を上手く引き出す力が求められる。同社は「STEP」の女性講師で結婚後に育児休職から復帰する人材など、学童保育部門の適性に合った人材を育成する研修カリキュラムを作り、こうしたリソースを拡充する考えだ。

教室展開については、近隣に小中学生部門のスクールがある地域に開校する戦略だ。学習プログラムに応じてSTEPスクールの教師や教師経験者がサポートに入るなど効率的な運営が可能となるほか、マーケティング面においても既にSTEPのブランドが確立している地域に開設する方が広告宣伝費も少なくて済み効率的なためだ。生徒1人当たりの売上単価は約50万円、1教室当たりの定員数は120名前後を目安に3年で収益化するビジネスモデルで展開する。学童保育部門が本格的に加わることで、対象学年が小学1年生〜高校3年生と学年数で見れば従来の1.5倍に拡大することになり、売上成長ポテンシャルが高まるだけでなく、収益性の向上にもつながりやすくなる。今後年間70人ペースで生徒が増加した場合、年間売上高は35百万円増、利益率を20%とすれば営業利益は7百万円増のペースで拡大することになる。もちろん品質の高いサービスを提供する運営体制が構築できれば、複数教室を展開し成長スピードを加速することも十分可能である。政府も子育て支援策については充実させていく方針を打ち出しており、学童保育部門の成長を後押しするものと期待される。

(4) 運営方針と生徒募集活動、価格政策について
同社は今後も校舎数に関しては必要以上のペースで拡大せず、「何よりも授業の質を大切にする」という基本方針を徹底させ、堅実な成長を目指す方針である。また授業形態としては今後も対面型の集団ライブ授業を基本にサービス提供を行い、必要に応じてオンライン授業を併用する方針である。オンライン授業では生徒が「理解する」授業は提供できても、「できるようになる」ところまで持っていくのはハードルが高いと考えているためで、今後も対面型のライブ授業を強みとして展開する方針である。

生徒募集活動については従来、生徒や保護者からの口コミとともに新聞折込チラシも活用してきたが、ここ最近は顧客層となる世帯で新聞購読率が大幅に低下していることもあり、チラシ広告からインターネットをメインとした募集活動に移行している段階にある。教室ごとのホームページを充実させ、Webでの問い合わせや説明会募集などに対応している。今後もICTを積極的に活用しながら、長期的なスタンスで生徒募集・校舎運営の体制づくりを行っていく。

なお、授業料に関しては「高品質の授業とシステム」を「安売りせず」に提供する方針に変わりないものの、市場環境の変化にも対応していく必要があるとも考えており、今後は様々な角度から検討する考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《MY》

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