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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/04/22 10:33,
提供元: フィスコ
ダイナパック Research Memo(3):段ボールの国内市場は成熟化、大手資本による集約化が進む
*10:33JST ダイナパック Research Memo(3):段ボールの国内市場は成熟化、大手資本による集約化が進む
■ダイナパック<3947>の会社概要
3. 段ボール業界の構造と市場動向
(1) 段ボールの製造工程
食料品や工業製品等を安全に配送するための包装材として幅広く利用されている段ボールは、ほぼ100%リサイクル可能なエコシステムを確立しており、回収率は95%以上となっている。段ボールとは古紙から原紙をつくり、波型に成型した中しんの片面または両面にライナを貼り合わせたものを指す。製造工程を簡単に見ると、製紙工場で古紙から段ボール原紙を作り、段ボール工場にて段ボール原紙を貼合わせて段ボールシートに加工する貼合工程、印刷や切れ込みを入れて段ボール箱に加工する製箱工程を経て顧客に出荷している(顧客には折りたたんだ状態で出荷)。同社は、段ボール原紙を大手製紙メーカーから仕入れて段ボールを製造しているが、製造量の2割弱程度は貼合工程後の段ボールシートの状態で製箱メーカーに出荷している。
貼合工程では、3枚の段ボール原紙を貼り合わせる。まず「シングルフェーサ」という部分で、中芯を波型に成型して糊をつけ、裏ライナと貼り合わせて片面段ボールをつくり、その後に片面段ボールのもう一面に糊を付け、「ダブルフェーサ」で表ライナと貼り合わせる。そして「スリッタースコアラ」で罫線を入れ、所定の寸法に裁断し段ボールシートが完成する。製箱工程で、段ボールシートに印刷や切れ込みを入れ、段ボール箱が完成する。特に貼合工程は設備集約型であるため、安定した稼働率を維持することが収益性にも大きく影響する。段ボールシートを製箱メーカーに出荷する理由の1つとして、貼合工程の設備稼働率の安定維持が挙げられる。
(2) 市場構造と業界ポジション
段ボールメーカーは国内で2,000社以上あり、特に中小企業が多い業界構造となっている。これは顧客の工場で毎日必要となる資材であり、物流費も考えると近隣に段ボール工場があることが望ましいことから、長らく地域密着型のビジネスモデルを維持できていたことが背景にある。ただ、物流インフラの整備が進んだことで段ボールメーカーの営業エリアが広がったこと、家電製品などの海外生産シフトによって国内の工業製品の生産量が2000年以降減少し、段ボールの国内需要が頭打ちとなってきたこと、さらには顧客企業から品質管理や環境対策など求める要求事項が増え、これらに対応するためには一定の投資が必要になってきたことなどから、ここ数年は中小事業者が淘汰され大手資本の集約化が進む格好となっている。また、今後についても経営者不足や人手不足の問題から、業界再編が進むことが見込まれている。
こうしたなか、段ボールの国内シェアは大手製紙メーカー2社(レンゴー<3941>、王子ホールディングス<3861>のグループ会社で5割強を占めている。段ボール専業では、トーモク<3946>がトップで約8%、同社が約3%で2番手となっており、今後もM&Aによって市場シェアを拡大する余地は大きい。
(3) 市場動向
全国段ボール工業組合連合会が発表した統計資料によれば、2024年の国内段ボール生産量は前年比1.1%減の14,062百万m2と2年連続で減少した。天候不順の影響で青果物向けの出荷が低迷したほか、物価上昇による節約志向の高まりや軟包装材への移行等により、家庭紙や雑貨品、その他製箱向けのほか、通販・宅配・引越向けが減少した。直近の動向としては2020年にコロナ禍の影響で落ち込んだ後に、EC通販市場の拡大もあって回復したことで2022年は過去最高の生産量を更新したが、2024年は2020年の水準も下回ったことになる。
以前はGDPと高い相関があったが、GDPはコト消費の影響が強まってきたことから最近は相関が低くなっており、食料品や工業製品等の国内生産量や消費量との相関がより強まっていると言える。ここ2〜3年の為替の円安シフトにより、一部の工業製品の生産が国内に回帰するなどプラス材料があるものの、基本的には人口数の増減が段ボール需要に影響を与えるものと考えられ、外国人居住者が増加傾向にあるとはいえ、中期的には前年比±2%程度と横ばい水準で推移する可能性が高いと弊社では見ている。
なお、2024年の段ボールの業界別構成比で見ると食料品が55.5%(飲料含む加工食品42.2%、青果物9.1%、その他食料品4.2%)と過半を占め、次いで電気器具・機械器具が7.0%、薬品・洗剤・化粧品が5.8%、通販・宅配・引越が5.7%、陶磁器・ガラス製品・雑貨が5.1%、繊維製品が2.0%、家庭紙を含むその他製箱が17.6%と続く。5年前の2019年との比較を見ると、通販・宅配・引越が0.4ポイント、その他製箱が0.7ポイントそれぞれ上昇した一方で、電気器具・機械器具が0.6ポイント、繊維製品や陶磁器・ガラス製品・雑貨が各0.2ポイント低下した。電気器具・機械器具については、テレビやパソコン、スマートフォンの国内生産縮小・撤退の動きが相次いだことが影響したと見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《KM》
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