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『世紀の相場師ジェシー・リバモア』

リチャード・スミッテン/藤本直
角川書店
四六判 419頁
2001年6月発売
2,200円+税

今回コメントくださったお客様は 陳 晁熙さん です
Q1 オススメ書を教えて下さい。

 ジェシ−リバモアに関しては、NHKテレビ番組の「その時歴史が動いた」などに紹介されて、かなり知られているようだ。売りが得意で、最後は相場に失敗してピストル自殺した、というのが大方の持っている知識だが、本書を読むと、それはあまりにもねじ曲がった事実だということを知るだろう。
 リバモアは、買い、売りにこだわらなかった。相場がどちらの方に動いているのかを常に冷静に観察し、有利だと思われる方に、徐々に参入し、大勢が決まると、一気に大きな建て玉をする、そして、人々が有頂天になっている時に買い玉を手仕舞い、総悲観になっているとき売り玉を手仕舞って密かに利益を確保している。そして、場合によっては、人気の裏を行き、逆張りを仕掛けるという、なかなかのク−ルガイなのである。
 そんな彼でも、大敗を喫し、無一文になったこともある。しかし、再起を狙って、じっくりと獲物がまつべく相場を冷静に観察するのである。リバモアは決して「ギブアップ」をいわない、タフガイでもあった。本書は、そんなリバモアの心情が臨場的に書かれている。
 そして、行間にちりばめられた「警句」は相場で四苦八苦した人なら誰でも、なるほど、と思わせるものである。また、それが巻末にまとめられてあり、折りに振れて読めば、相場に対する心構え、相場にどう向かえばいいか、自ずと身に付くだろう。
 さて、そんな「タフでク−ル」なリバモアがなぜ、ピストル自殺したのか?それは相場に失敗したというよりも、自らが撒いた女性問題で本妻との間でのいざこざにすっかり意気消沈してしまったからだ。気力も意欲も失せた相場師は、牙を抜かれたライオンと同じだ。悔やまれる。
 「糟糠の妻は堂より下ろさず」・・・・・・・相場で成功しても奥さんは大事にしましょう、という警告で、この書物は締められている。

Q2 5点満点で採点すると?
読みやすい   ★★★★★
知識がつく   ★★★★
おもしろい   ★★★★
儲かる     ★★★
専門的     ★★★
総合オススメ度 ★★★★
対象	      相場になやんで苦しんだことのある人に

陳 晁熙さん
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

東京理科大学理学部応用数学科卒業後、予備校講師(数学)を経て、ユニオン貿易(現 日本ユニコム株式会社)に入社。調査情報部、企画部を経て、現在、調査部。ファンダメンタル分析、テクニカル分析に従事。

2002年6月19日 ブルームバーグTVの番組、"新・チャートの鉄人"に出演されました。放送内容はこちらからご覧いただけます。

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ありがとうございました。

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