アザー・ピープルズ・マネー
ノーマン・ジュイソン監督/ダニー・デビート 101分VHSビデオ
なかなかイイ映画です。コメディじゃないけど。
最初はコメディだと思って観ていたので
「なにこれ ちっとも笑えないじゃん」とか思ったんですよ。
途中で気がついて、なるほどそうだったのか、という感じ。
だってー、ビデオのパッケージに
「マネー・バトル・コメディ!」「ヒューマン・コメディ!」
とか書いてあるんだもーん。
パッケージは日本で書かれたものでしょうから、きっと担当の方は、
中身を見せてもらえずに書いたんでしょうね。
ダニー・デビートでこのカバーなら「コメディ」って書きたくなるわな。
お気の毒。
というわけで、アザー・ピープルズ・マネーはコメディではありません(^_^)
と一言お断りしておきます。
日本ではごく短い期間しか公開されなかったようですが
役者もそろったイイ映画だと思います。
パイパー・ローリーもペネロープ・アン・ミラーも
「うーん絶対前に観たことあるー 何の映画に出てたんだっけ?」と考え通しでした。
ダニー・デビートはいわゆる「乗っ取り屋」
当然ながらいいのよ実に。
対する乗っ取られ側の会社会長の高潔なグレゴリー・ペックおじいさんさえ
薄っぺらに見えるくらい。人間が描ききってある感じ。
「生きて行かなきゃならないのよ?成功してるのよ?法には触れてないのよ?!
ああそれなのに、いったいアタシのどこが悪いのよよよよ(/_;)」って感じが。
それって彼の容姿のなせる技なのでしょうか、
どんなにえげつなくタンカを切ってもどこかこっけいだ、となるのでしょうが
ワタシなんだか切なくなっちゃって。うまいなあ。うまい。
こうなるとどう探しても彼の形容詞は
「・・・チャーミング。」しかありませんねぇ。ステキ。
ペネロープ扮するヒロインのケイトじゃないけど、
こういう人間くささを感じる男のヒトに「ちょっと」(あくまでも「ちょっと」)
惹かれる気持ちってあるのよねぇ。
ちなみに、会社を興して成功する人のパーソナリティって
こういう感じだと思いますので、興味のある方はそのあたりも
ごらんになって下さい。
これって1991年の作品だそうで、その時代のアメリカ経済事情も
ぷんぷん臭ってきますねぇ。
乗っ取り屋として現れたガーフィールドより多分嫌われているものとして
日本企業や日本そのものが台詞やエピソードに出てきています。
日本や日本企業の考えていることが、アメリカ人にはぜんぜん読めないようで 、
薄気味悪い存在としてジョークのネタになったりしてます。
苦しかったアメリカ経済と国民の不満の標的となった日本の姿が
いま見えることでも興味深い作品です。
一人勝ちするヤツと、理念なきカネ稼ぎをするヤツは
周りにどう思われるか、そしてそれってただのやっかみだけなのか、
そんなことも考えちゃいました。
そうそう、コメディでないこの作品で唯一笑えるシーンが
主演の二人が日本料理屋へ行くシーン。二人がヘタな日本語を話したり
スゲー白塗りの仲居さんが出てきたりで超びっくり。
たしゃこのシーン何度も巻き戻して観ちゃいましたよ。
ワタシは特に海外映画の日本描写って好きなのですが
こういう日本描写マニア(?)でなくてもここは必見です。
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