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財産づくりの株式投資林輝太郎 同友館林先生の新刊を読んだ。先生は自分のことを「相場技術論者」であるとおっしゃっ ているが、実は徹底したリアリストなのではないかと思う。本来誰にでもできる易し いはずの「基礎」が相場には最も大切なのだが、多くは、誤った筋道と易しいものを 馬鹿にする気持ちから、それを怠り失敗する。だからこそ、その「基礎」に対する記 述をそれこそ「くどいほど」徹底して述べなくてはならない。それが現実を重視し、 一般投資家の実態を長年見据えた末の結論である。 変動感覚と売買技法を磨くことの重要性。一つの流儀に専念し、相場で成功を修め ることは難しくないと言われている。しかし、簡単であるそれを守ることが心理的に は大変難しいのだ。 かく言う私もその失敗を繰り返している。相場を始めて7年目になるが、幸いトー タルでマイナスではないのは林先生のおかげである。しかし、その割に上達できてい ないのは、「趣味的要素を排除しきれず」すぐ他の銘柄に手を出すからだ。本業の小 豆では毎年利があり、それだけをやっていれば資金は倍増しているはず。しかし、現 実には資金に余裕ができると、ゴムの売りを試してみたり、白金−金のストラドルに 挑戦してみたり(これは大損)、はてまた新規上場の鶏卵やブロイラーをやったり。 今年もゴムのサヤ滑り取りをやって逆ザヤになり、損をした。 資金的な損失以上に痛いのは、上達が遅れてしまったこと。林先生の書は数十回読 んでいるのに、やっぱりしっかりしていないとすぐ愚劣化の方向に進む。そんな、一 般投資家の迷いなど先生はとっくにお見通し(だからこそくどく説いている)、まる で孫悟空が釈迦の掌の上で必死にもがいているようなものだ。 多くの記述がこれまでの本と重複する内容であるが、最後の章は「休み」の大切さ を述べていて必見である。ちょっとした相場の本にも売り買いとともに休みに関する 記述はみられるが、ホンのさわりだけの曖昧なことしか書かれてなくて実践には役立 たない。 しかし、この本には蓄財のためには「休む」ことが必然であると丁寧に記述されて いる。特に利益が増えてきたときの考え方を述べているが、最近の良い本には「資金 管理」の重要性について述べられていても、この視点で書かれたものはちょっとない と思う。最後の10ページだけ読んでも、充分に収穫がある。
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