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銅マフィアの影日本経済新聞社相場で「損」はつきものである。 それどころか、相場での「損」は必要経費とさえいわれている。 それにしても、ここ数年に起きた、プロと呼ばれるトレーダー達の 損失額の大きさには驚きを超えて、不思議な感さえある。 「一体、どうやったらこんなに損失を出せるのか…」 この「銅マフィアの影」は、住友商事元非鉄金属部長 浜中泰男の 銅相場による2850億円もの巨額損失を日本経済新聞社の 取材によって書かれたものである。 なぜこのような損失を出すに至ったか、本書には 「小さな損失を取り戻そうと焦り、逆に雪だるま式に膨らませていくのは、 株の先物取引の失敗で英銀ベアリングズを倒産させた シンガポール法人のニック・リーソン、米国債権不正取引で 大和銀行を米国撤退に追い込んだニューヨーク支店の井口俊英をはじめ "ローグ(不良)トレーダー"の共通のパターンといえる」とある。 相場の実践家には思い当たる部分もあるだろう。 最初の小さな損切りが嫌で、そのまま放置し、結局大きな損で終わる。 元金が割れるのが嫌で、引かされ玉を粘ってしまう。 あるいは、それまでの損失を一気に取り戻そうと、大きく建て玉して大敗する。 「損」とうものは、まるで火の扱いのように、その取り扱い方を誤ると とんでもない結末を迎えることになる。 また本書は「銅マフィアの影」と題名にあるくらい、 この事件をもとに、銅相場を取り巻く世界中の人々の関係、 ときに、怪しい人達の関係をつぶさにあぶり出して興味深い。 その点、この方面の知識を得るには、他にはないのでは、と思われる。 中には、浜中泰男とその仲間が相場操縦するための「建て玉計画一覧」 などが載っており、相場の実践家にとっても、なかなか興味深いと思われる。 そしてあらためて本書から思うことは、 市場に流れるニュース、情報のたぐいは、しょせん個人レベルでは 本当のところを知るすべもないことを、思い知らされる。 仮に、真実の情報を得たところで、ジョージ・ソロスさえも、 この銅相場で浜中泰男に対し惨敗を期している。 ならば、相場をやる上で、最初からニュース、情報などに頼るべきではない と感じたが、さて、皆さんはどうであろうか。
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