ヘッジファンドの魔術師　スーパースターたちの素顔とその驚異の投資法

多様な投資戦略の一端を知るために

　「魔術師」とタイトルのあるところから、「マーケットの魔術師」シリーズを連想させるところがあるが、直接的なヘッジファンドのマネージャーへのインタビュー集ではなく、それぞれのマネージャーの投資戦略について解説された内容である。

　本書の内容からヘッジファンドと一口に言っても、その実際の運用方法には様々なタイプ、内容があることがわかる。それぞれのマネージャーごとに簡単なまとめの表が付け加えられており、それを比較して見るだけでもその多様性が理解できよう。

　日本においては、こうしたファンドマネージャー個人に対する注目というのは、一部を除いて高くない。できれば、日本においても、こうした優れたパフォーマンスのレコードを残せるマネージャーが多く登場してほしいものである。

　類書の例にもれず、本書も翻訳物としての隔靴掻痒感は免れない。専門的な用語がそのままカタカナで用いられていることが多く、つまりはそれがどいう意味なのか、自分なりに咀嚼しながら読む必要があるところが私自身は多かった。

　また各マネージャーの特徴をまとめて紹介している章があるか、いささか羅列的すぎるきらいがあり、やや面白みに欠ける印象があった。

　興味深かったのは、多くのファンドマネージャーがファンドの適正規模を意識している点で、ファンドの規模が大きくなりすぎることによって実際のパフォーマンスは低下しがちになることを指摘していた点であった。

　本書は、優れたファンドマネージャーの多様な投資戦略の概要を知るという点で興味深い内容ではある。しかし、それを自分自 身の投資に直接的に生かすことは難しいだろう。

（ふしみん、４０代、公務員）

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