非常に読み応えのある内容。巷の投資書籍の一部には、バリュー投資に適している銘柄を定義する時に、PER・PBR・配当利回りなどを計測し、ある一定の値の範囲内に収まっているのであれば、その銘柄は割安だから買いであると記載していますが、本書を読めば、投資と言うものはそんな単純なものではないですよと気付かせられる内容となっています。
小生も投資の世界に足を入れ、早数十年経ちますが、バリュー投資に関する考え方の根本は今も昔も同じであっても、それ以上にビジネス環境の変化や政府・中央銀行がマーケットに介入する影響力が大きくなり、売買時には昔の理屈や理論だけでは通じないことも多々あると感じております。
ゆえに本書を読んで、現況におけるバリュー投資とは何ぞやと自ら再考するのには、良いテキストとなっていますし、個別銘柄を深掘りして探究したい人(マニアックな人)向けの本書内容です。
あくまでも小生の私見ですが、特に読み返して学びになった箇所は、「第6章 成長」「第7章 優良な事業」「第8章 フランチャイズ銘柄のバリュエーション」の3つの章です。
本書タイトルに記載されているように、グレアムやバフエットを超えたいもしくはグレアムやバフエットのようになりたいと思われるならば、安定的に成長し続ける優良企業に投資できるに越したことはないですが、ただそのような企業を常時発見し投資し続ける天才投資家は世の中で一握りではないでしょうか。但し、勤勉な投資家の知恵として、事業価値に対する理解やリターンに基づく方法論などを学ぶことによって、成長性のある企業かどうかの判断基準を持ち合わせれば、金の卵と出会う確率は上がるのではないでしょうか。
冒頭に記載通り、読み応えのある本ゆえに、読者によっては難解さもあると思いますが、銘柄選別の一助となる書として、ご一読することをお勧め致したい。
三度の飯より相場好き
個人トレーダー 投資歴 26年
本書は2001年に出版された本の新版で、大学でのバリュー投資の講義を土台とした内容となっている。
単に低PERとか低PBRとかいうようなことでなく、バリュー投資の本質について、グレアムの古典的な手法の解説からはじめて、その今日的な展開まで、具体例を挙げながら詳細な検討がなされている。
なぜバリュー投資が成果につながりやすいのかの解説で行動経済学の観点から述べている点は非常にわかりやすく普遍的な意味があるように思われた。
また、投資判断を行う場合の様々な観点について詳細の解説がなされている点もよい。
但し、とりあげられる銘柄は当然米国市場に上場されているものばかりで、なじみのないものがほとんどであり、そうした面での隔靴掻痒感はある。また部分的には専門用語がカタカナでそのまま示され、丁寧に読まないと文意をくみ取りにくい部分もあった。
全体としてバリュー投資について詳細に解説がなされた労作であり、本格的に個別銘柄への投資、それもバリュー投資をてがけようとするのであれば、参考となるところが多い一冊であると感じられた。
ふしみん・60代・個人投資家
鳳凰堂のランダムウォーカー
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