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資産運用の強化書〜銘柄選びより大切な投資の基本〜

アセットアロケーションについてのわかりやすい入門書

 本書の副題は「銘柄選びよりも大切な投資の基本」である。内容は、アセットアロ ケーション(運用における資産の配分)について、わかりやすい平易な文章で書かれ た入門書的なものとなっている。

 実は現在の私自身の資産運用についての最大の課題はこのアセットアロケーション のあり方だと考えている。そのため、本書の内容は、とりたてて目新しい中味があっ たとは感じられなかったが、あらためてこの課題について考え直すためのよい契機と なった。

 簡単に言ってしまうと、自分の課題はディフェンシブ色が強すぎ、現金及びそれに 準ずるポジジョンが大きすぎるため、これをどんなアセットクラスにどの程度、どの ような配分したらいいのかというものである。

 本書は記述が平易であり非常にわかりやすい。図表も見やすく、行間など編集も ゆったりとしていて見やすい。個別銘柄への投資に一生懸命になり、なかなか安定し た利益が出ない個人投資家にとっては有益な中味になっていると思う。

 一方、個人投資家の投資は機関投資家の投資とは大きく異なる面がある。単純化し て言うと、無論資金面などでの制約はあるものの、個人投資家は「自分のやりたいよ うにやれる」という強みがある。株式でアクティブ運用する投資信託は、いくらこの 先、市場が厳しい状況に陥ると予想していても、資金を一斉に引きあげて株式を売却 してしまうようなことはできない。また、機関投資家がマイナーな小型株を運用対象 としないのは、それをしても実質的には意味が薄いからである。個人投資家は各種の 指標であるベンチマークに勝とうが負けようが、関係ない(もちろん、勝つにこした ことはない)。

 本書は全体としてアセットアロケーションについての解説が多く、個人投資家にと るべき戦略のあり方についての記述が(ないことはないのだが)薄い。

 自分自身のこれまでの運用をふりかえってみると、その損益の相当の部分は特定の 個別銘柄への売買に依存している。で、この特定の銘柄の売買で得た利益で、日本株 のポートフォリオを構成し保有を継続するような形となっている。

 日本株のポートフォリオについては、市場や業種、投資額や売買タイミングなど、 全般に分散することを心がけていることもあって、その値動きの傾向は全体として見 れば、指数が上昇する場合はこれについていけず、下落する場合は下げ渋る傾向が強 い。つまりは主要指数と比較すると、値動きの方向性は同じだが、値動きの比率は小 さくなっていることが多い。結果、全体としてリスクが低いポートフォリオとなって いる。別にインデックスファンドやETFを利用せずとも、このようなポートフォリ オを運用することはそんなに難しくない。昨今は貸株(これ自体のリスクはある)な どもあるため、全体としてこのポートフォリオの保有コストは低くなっていると思わ れる。

 こうした、個別銘柄で構成するポートフォリオのあり方とその売買などについても 述べてほしかったと思う。

 私自身のとっている戦略は、本書に示されている「コア・サテライト戦略」に近 い。日本株については今の運用の形を継続しつつ、本書の内容も参考にしながら、他 のアセットクラスへの投資のあり方について検討し、実践していきたいと思ってい る。

(ふしみん 40代 公務員)


 著者の角山さんといえば、バリュー投資に関する本をたくさん 書かれているので、バリュー投資家としてみてしまいますが、 この本はアセットアロケーションの本です。角山さんは2006年からアセットアロケーションを意識した投資をなされ、成 果をあげているようです。内容的には、かなり充実しているので、買って損はないと思います。

角山さんは、アセットアロケーションの例として、3つをあげています。安定型と標準型と 積極型です。特徴としては、いずれも外国債券が10%であるということです。これは利回りが為替変動に負けてしまうのと 、インフレに負けてしまうという理由があります。この点は私も同意します。外国債券へは配分しなくていいかなとも思って います。ただ、これからのねらい目は豪ドル円とNZドル円でしょう。金利が上昇し始めたときがチャンスとみます。

また、リートは多くて10%、商品は多くて5%となっています。リートについては、株式より成績がよいようなので、もう少し多くてもいいかもしれないと思います。そして、株式への投資については、特に外国株はETFをすすめています。やはり手数料は安いほうがいいですから。そして広い地域に分散されますし。

ただ、これから日本へ投資するのはどうかと思います。人口の減少、労働人口の減少などいいことがありません。投資す るなら、トヨタのような国際的な企業がいいと思います。2008年現在、トヨタは赤字ですが、必ず復活すると思います。GM はもうだめでしょう。アメリカへの投資もどうなのでしょうか。かつてイギリスが20世紀になるときに没落していったのです が、アメリカも同じ運命をたどるのでしょうか?そのときのイギリスの株価と不動産は下がり続けたのでしょうか?もし、そ うならこれからのアメリカは投資できないということになりますし、そうでなければ投資できるということになります。真実 を知りたいです。

あと、4匹のトラといわれた香港、台湾、韓国、シンガポールが1993年から10年間株価が低迷していたのは ショックでした。今でいえば、これから10年間ブリックスが低迷するということです。この結果、私のアセットアロケーショ ンは、新興国全部から、先進国:新興国=1:2となりました。もちろん全部株式です。(笑)よいこは真似しないでください 。(笑)

そのほか、小型株やバリュー株は儲かるとか、逆イールドは株価によくないとか内容は盛りだくさんなので、ぜひ買って読んでください。

(bblue 30代 会社員)


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