金融危機で失った資産を取り戻す方法

　同じ著者の本を以前にも読んだことがあるが、この本も以前のものと同様に文章が 平易で非常に読みやすくわかりやすい。

　本書の基本的な内容は、「環境」問題、二酸化炭素削減対策の意味と、それと関 わっての投資スタンスということになる。

　「環境」問題に対する、ある種のうさんくささは私自身、常々感じていたところだ が、本書では、「環境」、直接的には二酸化酸素削減の「課題」を新たな経済の成長 エンジンにしようとする方向性、志向性が指摘されている。これは「物語」としては 非常に面白いし、わかりやすい。問題の本質をついている可能性もある。

　これに対する対処方法はというと、環境関連の銘柄への投資、とりわけテーマとし てはスマートグリット、原子量発電、電気自動車に関連のある銘柄への投資を考え、 リスク限定的には大型株を中心に、攻めの視点からは中小型株への投資をしようとい うもの。この方法、結論もわかりやすい。

　全体として、前半部分の環境問題の枠組み、意味の整理の部分は「物語」として面 白い。後半部分の実際の投資戦略については目新しさはないものの、今後、視点とし てさらに重要になってくる内容が含まれている。

　実証的でない「物語性」の部分や個々の内容については異論がある部分もあるが、 セールス的に有効性があると思われる書名、切り口の斬新さと文章の明快さを評価す る。

（ふしみん ４０代 公務員）

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