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売買システム入門トゥーシャー・シャンデ/鶴岡直哉 パンローリングより優れたトレーディング・システムを手に入れるために、トレーディング・シス テム開発チームが多くの時間と人材と金額を掛けて得られる情報が、いや、それでも 見落としてしまう情報が、1つ1つステップを踏んで、最新の技術、著者の経験や優 れた洞察力から得たアイデアなどを含め、検証結果を表や図を使って解りやすく書か れています。とてもすばらしい内容で短い期間では理解しきれるものではなく、トレードを続けるかぎり、必要となる重要なバイブルとなってくれると思います。 システム・トレードの定義に始まり、システムを使用するメリット、使用に耐える システムを開発するのための必要な条件、ルールを限定する必要性、カーブフィッ ティングではないあらゆるマーケットで通用するルール、システムやマーケットに合 わせた仕切り・仕掛けルールの必要性、検証結果の数字の見方、掛け率を変動させる 戦略、リスク管理、マネーマネジメント、完成したシステムに従う必要性、心理面や 注文執行方法が与える影響、日記をつける必要性など、様々な内容を事細かにケアし てあります。 ただ、完全に理解し実行するためには困難が待っています。内容が高度で難解な部 分がいくつか見られます。克服するためには、用語に対する知識、テクニカル分析・ ファンダメンタル分析に対する知識、ある程度の数学知識、トレーディング・システ ム開発・検証ソフトに対する知識、表計算ソフトに対する知識、関数やマクロの知識 など、身につけなければならない知識が多くあります。そしてコンピューターはもち ろん、トレーディング・システム開発・検証のためのソフト、表計算ソフト、価格 データなど、それなりの投資が必要になります。 自分にあった最高のシステムを得ることは簡単ではありません。イマジネーション (想像力)とインスピレーション(ひらめき)、そして多くの努力と資金を必要とし ます。 この本によって、開発に掛かる資金と時間の多くをカットでき、「トレーディング ・システム」に対する知識のほとんどを手にいれることができると思います。トレー ドをより深く理解できるようになり、トレードの奥深さを学ぶことができます。そし て、トレーディング工学のレベルの高さに驚くことになるでしょう。 「トレーディング・システム」を手に入れたいと思っている人はもちろん、すべて のトレーダーに対してこの本はイマジネーションやインスピレーションを与えてくれ ます。そして、この本を読むことで、スーパートレーダーたちが書いた本を読んだと きにも、何を言わんとしているかその背景にあるものに対して、より深く理解できる ようになります。すべてのトレーダーにとって、この本は非常に有益な本になると思 います。
システムトレ−ディングという言葉を良く聞くが、テクニカルトレ−ディングという 言葉と同義に受け止められ、使われているフシがある。 全く同一でなくとも、両者の領域が曖昧で、文脈の中で、どちらかの方を指している 場合が多い。 実際、私自身も振り返って見れば両者を厳然として区別はしていなかったように思う。 しかし、この書を読んで、システムトレ−ディングはテクニカルトレ−ディングを包 括するものであることがわかった。言ってみれば、システムは戦略でテクニカルは戦術ということだろうか。 「戦略の不備は戦術では補えない」という言葉があるが、システムを堅固に構築して こそ、テクニカル分析やテクニカルトレ−ディングも生きてくるということだ。 本書は、システムを構築する前に、まず読者が相場をどのようにとらえているのかを 自問自答させる。独自のシステムとは、使う人のポリシ−やビュ−が反映されるものでなければならな いからだ。そういう意味では、あるシステムがよく「当たる」からといって、他人が使ってもう まくいかないということは至極当然のことだろう。 さて、読者の相場観が短期なのか長期なのか、ドロ−ダウンをどの程度に設定したい のか、勝率は何%がいいのか。これに対するベストアンサ−はない。あくまで、構築し使用する人 の問題であるからだ。本書は、こうした初歩から説き起こし、次第にシステマッティックな取引が構築でき るように誘導してあり、ディスクレッショナリ−で取り引きして、行き詰まっている 人には参考になることが多い。ディスクレッショナリ−で成功するにも、考え方やトレ−ドの仕方に一定の規律が要 求されるからだ。成功しているディスクレッショナリ−取引は、その人が無意識のうちに、システム的 な思考・行動を取っているからだと思われる。トレ−ドが不調になっているときは、思考や行動にシ ステム的なものがなくなり、規律制が保たれていないからであろう。 そういった意味で、一度、自己の取引過程を振り返り、システム構築というフィルタ −にかけることは非常に有益だ。 特に本書の第1章から第5章までを熟読することをお勧めする次第。 また、システム構築に用いる設定を変えることで、資金変化の考察を行っているとこ ろは安易に裁量ではできないということを知らされて、有益だった。
(40代 会社員 男性)
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