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トゥモローズゴールド

マーク・ファーバー, 足立眞一, 井田京子 パンローリング

これまで、この種の本は敬遠してきました。何度かトライしてみても、いつも途中で投げ出していたのは私自身未熟で、その内容と文体を理解できなかった、というより受け入れ難く、頭のどこかで納得しきれない違和感があったように思います。そこには、自腹で投資経験のない机上の空論を論じる学者やナルシスト的ストラテジストたちと、どうすれば1つでも多く稼げるかという生活のかかった個人との目線の差、温度差を感じていました。

体系的に相場を捉えるために、少なからず押さえておきたい知識なのですが、それらのロジックを理解し、今日の相場状況にまで落とし込み、明日稼ぐためにどうすればよいかという、我々にとって肝心な部分に触れられていないが故に、信頼性に欠け、これでは使えない、取り入れない方がいいという結論に終わってしまうのでした。

私の長い愚痴に同意される部分がある方は、ダマされたと思って本書を数ページめくってみてはいかがですか。著者の毒舌とまではいきませんが、愚を愚と言い切り、無駄な遠回しは一切せず、難しいことをさも当前のようにナルホドと思えるレベルまで分析しており、自分も理解できることで面白い!と感じられることでしょう。

開眼のきっかけは、年初に開催されたパンローリング主催の感謝祭における本書著者、マーク・ファーバー氏の講演だったのですが、1時間ほどの間メモを走らす手が止まらず、こうゆうことが知りたかったのだ!という興奮に助長されたそのままに本書にも読み耽りました。これほどの説得力は、多くの実践現場で研ぎ澄まされてきた著者の投資家としての経験と、確固たる実績が伝わってくるからこそでしょう。成功者の成功者たる市場の見方、繰り返される歴史と循環の分解の仕方、そしていかに現在の状況と照合していくかの要点を大いに吸収できる内容です。どうしても多すぎる情報量と多岐に渡る分析を要する分野なので、外してはいけないポイントや条件をハッキリと箇条書きで述べられているところなどは、実用度が高く、自分なりのアイデアまで発展していきます。

結局、自分の解釈次第と言ってしまえばそれまでですが、それを肯定的にとらえ、自分で考えていく習慣から正しいコントラリアンの道を学ぶことができるよう解説されており、著者の、“正直言って未来どころか現在や過去についてもそれほど詳しいわけではないが、だからと言って将来起こり得る変革について考えをめぐらすことをやめるべきではない”という言葉を素直に実行していこうと思いますし、そのための手法も判断基準が多く利用しやすいと言えます。テクニカル分析などとは違い、真似る事すら難しい分野だと思っていたのですが、それはその分析プロセスが納得できず、理解できないために自分で考える域まで達することができないから、たとえ自分で何らかの答えを出してみたところで自信もなく、使い物になるはずもない当然の結末だったのだと気付かされました。壁が一つ崩せた思いです。

著者いわく本書は経済破綻や巨大ブームを予想するためのものではなく、経済的にも政治的にも社会的にも変化を続け、輸送手段も通信手段も情報入手手段も加速を続ける世界で見つけることができるチャンスに、スポットライトを当てることを目的としています。景気・信用・投資・人々の心理が作る循環と大きなトレンドについて書かれており、正しく歴史を分析できているのはいつの時代も少数派で、多くは過去を学ぶ前に、失敗だけを同様に繰り返していると訴えています。それこそが、著者が独自の道を進む逆張り投資家として有名な所以とうなずけました。歴史から過去を分析しながら巧みな例えを交えつつ、数年先の予測まで1つ1つ論理を組み上げていくプロセスを解説しながらも、“結局投資判断の中心はほとんど、もしくはすべて強欲と恐怖で占められている”という言葉には感慨深いものがありました。これこそ現実であり、本質だと痛感します。急速に変化していくものと、変わらないものについても述べられている中で、どんなに環境が変化しても人間の本質が変わらなければ、これまでと同じ過ちをこれからも繰り返すだろうとは、なんと身につまされることでしょうか。また、このような書籍でも心理的な理解が不可欠と明言されていることは、多くの良書が強調する重要なポイントと一致し、自分の信念が一本につながったような不思議な安心感が沸いてきます。これと言って書店では目立つ本ではありませんが、内容を一言で表すなら“面白い本”です。誰かに話したくなる本です。でもライバルには知られたくない本です。私は久々に本で成長できました。


1987年のNYのブラックマンデーや、1989年の日本のバブル崩壊を予測したというマー ク・ファーバー氏の著作。いったい彼はその大きなクラッシュをどのような方法で予 測したのか、誰もが気になるところだろう。私も大きな期待をもって本書を手に取っ た。

本書の大部分では、過去の様々な事象を振り返りながら、それらがマーケットにどの ような影響を与えてきたのかが丁寧に解説されている。このような大局的な観点から マーケットのトレンドを読み取るというのは一般に敷居が高く、個人投資家が正面か ら取り組むのは困難な試みだ。しかし本書では、平易な言葉遣いと豊富な具体例によって、読者の興味を引きつけるのに成功している。数多くの指標に注目しつつ、表やグラフを用いて解説する様子は、まるで大学の講義のようで楽しめた。

ひとつ誤解して欲しくないのは、本書においては暴落予告のようなセンセーショナル な記述は存在しない。中国の将来見通しについて強気の記述はあるものの、決して買 い煽りをしている訳ではない。ファーバー氏の本ということで「予告」を期待して読 むと、淡々とした解説に物足りなさを覚え、肩透かしを食らった気分になるかもしれ ない。この本はあくまでも「予告」を生むための基礎となる考え方と、経済学をベー スとしたアプローチについて解説されたものであることを認識すべきだろう。大学時 代に多少経済学をかじった私にとっては、なかなか興味深い記述が多かった。

ファーバー氏は2003年5月より、日本のマーケットに対するスタンスを変え、強気の コメントを発しているそうだ。そして実際、この一年間で日本の株価は大幅に上昇し た。このことを考え合わせると、ファーバー氏の慧眼には恐れ入るばかりだ。

(cypher 30代 会社員)

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