先日、東証1部上場のニイウスコーが、2007年6月期決算を発表しました。
当初発表予定日から2度の延期を経てのようやく発表、ふたを開けてみると、
5億5千万円の経常損失、最終損失は300億円となり、40億円の債務超過に転落、
という決算内容でした。
ところで、最新の会社四季報(2007年夏号)によるニイウスコーの2007年6月
期の業績予測(連結)によれば、経常利益18億円、最終損失19億円となってい
ました。わずか半年前に示された業績予測値と実際の決算結果とがこれほどま
でにかけ離れてしまっているのです。
以前のコラムでも少し触れましたが、企業や会社四季報、アナリストなどによ
る「業績予測」と、実際の株価の動きとが矛盾することはよくあります。例え
ば、業績予測では引き続き好調な業績を維持する見込みであるのに、なぜか株
価は下げ続けている、というケースです。そのようなとき、「業績予測」と
「株価」のどちらを信じるべきでしょうか。
そんなときは、「株価」を信じるべきです。
株価には、全てではないにしろ、その会社に関する多くの情報が織り込まれて
います。そして、その情報は、企業などから発せられる業績予測より、新しい
情報であると考えるべきです。
こうした考え方をもとに、ニイウスコーの業績予測と株価の動きとを見比べて
みます。会社四季報の最新号による2007年6月決算の数値だけをみる限り、前
期より減益であるものの、18億円の経常利益を計上できる見込みであり、1株
当たり純資産も2006年12月中間期で34,947円であることから、ここまで株価が
売られるほど悪い状況ではない、という印象を個人的には持ちました。
ところが、株価はいつまでたっても下げ止まりませんでした。こうなると、現
時点で出されている業績予測よりも実態はかなり悪いのではないか、という予
測を立てるべきです。
ここで、いつまでも、業績予測値にとらわれすぎて、「株価は売られすぎで割
安な水準だ」と思って買ってしまうとみるみるうちに含み損を抱えてしまうこ
とになりかねません。
業績予測にくらべ株価が売られすぎ、ということは、その裏に隠されている事
実は、(1)「業績は悪くないが何らかの理由(例:ファンド解約に伴う持株の処
分)で売られている」か、(2)「実際の業績が予測値にくらべて悪いため売ら
れている」のどちらかです。
(1) の場合は、売り需要が収まれば株価は下げ止まるものと考えられます。
しかし、株価が下がっている途中で買うのではなく、下げ止まって反発し、
売り需要が収まったことを確認してからでないと危険です。
(2) の場合は、決算発表や、業績予測の修正発表が出た後の動きを見て、反発
したならば悪材料出尽くしととらえて買い向かってもいいでしょうが、発表後
もさらに下落するのであれば、下げ止まりを待つしかないでしょう。
ただ、(1) の理由か (2) の理由かを見抜くことは現実問題として不可能です。
特に、(2) の理由の場合、一旦株価が下げ止まったと思って買い向かった途端
に、業績の大幅な下方修正の発表などにより、さらに株価が下落し、ストップ
安の連続で手も足も出なくなってしまった、ということもよくあります。
従って、業績予測と株価の動きとが矛盾する場合は、企業側からの何らかの発
表があるまでは、静観しておくのが一法でしょう。既に「過去の情報」である
業績予測値を根拠にして、「業績予測に比べて株価が割安だから買いだ」など
と判断しないことが、大負けを防ぐためには重要です。