先日の日経新聞に、上場企業が地方都市でも個人投資家向けに会社説明会を開
催し、個人株主の開拓に力を入れているという記事がありました。
会社はなぜ個人投資家に対して会社説明会を開催するのでしょうか。それは、
「個人投資家に株式を買ってもらいたいから」です。つまり、会社説明会では、
社長などの「セールスマン」が、自社の株式という「商品」の魅力を宣伝して、
個人投資家という「顧客」に買ってもらおうとしているのです。
会社にとっては、長期・安定的に保有してくれる個人株主を増やすことは、株
価の下支えという点や、他者からの買収リスクの軽減という意味から非常に重
要な課題となっています。
ところで、普段、何かモノを買うときは、特に家などの高い買い物をするとき
には、セールスマンの話を鵜呑みにするだけでなく、自分自身でも色々と調べ
てみるものです。
実は、会社説明会も同じことが言えるのです。説明会では、会社の将来の成長
性など、プラス面の話を聞かされることになるでしょう。「これからは当社の
利益は伸びそうもないので当社の株は買わないほうが賢明です」などとは決し
て言わないはずです。
ですから、我々個人投資家は、会社説明会で会社側から発信される情報だけで、
その会社に投資すべきかどうかを決めることは避けるべきです。
その会社は本当に将来性があるのかを他の方法でも情報収集すべきですし、そ
の会社が属する業界の現状や今後の見通しも調べる必要があります。
そして、そもそも会社が3年後、5年後どうなっているかなど、誰も正確に予測
などできないのです。いくら社長が「わが社は将来有望です」と言ったとして
も、それは話半分程度にとらえておくべきでしょう。
そうしないと、会社の将来性を信じてその会社の株を買った後に、もし業績の
伸びが鈍化したり、業績が悪化したとしたら、昨年から今年にかけての新興市
場銘柄のように、株価はあっという間に10分の1以下まで下がってしまうことだ
って十分にあり得ます。
さらに、いくら「魅力的な会社」であっても、株価水準が高い位置にあったり、
市場全体が下落基調であれば、業績の伸びにかかわらず、株価が下落し続ける
ということもあります。飛びついて買うのではなく、冷静になって株価の位置
や市場全体の基調をチェックした上で、その会社の株に投資するかどうか決定
することが大切です。
会社説明会で話を聞いた結果、非常に魅力的な会社に映ったとしても、くれぐ
れもその会社の株を「衝動買い」しないようにしましょう。