個人投資家に大人気のFX取引。しかし、「FX取引は、誰でも簡単に儲けること
ができる」と思うのは非常に危険です。8月の急激な円高の際、FX取引で多額
の損失を被った個人投資家が続出したことを忘れてはなりません。FX取引のリ
スクもよく理解した上で行わなければ、あっという間に取り返しのつかない損
失をしてしまいます。
まず理解しておかなければならないのが、高いレバレッジをかけたFX取引は基
本的には長期投資には向いていないということです。例えば20倍のレバレッジ
をかけてドル買いのポジションを組んだとすれば、(金利収入を考慮せずに考
えれば)6円程度円高になっただけで、証拠金はゼロになってしまいます。6円
の円高というのは、過去の経験則からいっても頻繁に起こり得ます。10倍のレ
バレッジにすれば、12円の円高までは耐えられますが、短期間に12円の円高に
なることも十分にありえます。
このように、高レバレッジによるFX取引は、長期投資したくても、ある程度
大きく円高に振れると、強制決済され、証拠金の全額を失ってしまうというリ
スクが高いのです。
ところが、FX取引をおこなう個人投資家には、高いレバレッジをかけつつ、
「スワップ・ポイント」と呼ばれる金利収入を目当てにして長期投資している
人も多くいます。
現状は、日本の金利が外国の金利に比べて格段に低いため、外貨買い・円売り
のポジションを持てば金利収入を得られるのですが、逆に、円買い・外貨売り
のポジションを持つと逆に金利差相当額を支払わなければなりません。円・ド
ルでみれば金利差は4%ほどありますから、多くの個人投資家の心理からすれ
ば、年4%の金利を払ってまで円買い・外貨売りのポジションを持つくらいな
ら、多少円高のリスクがあったとしても金利を受け取ることが出来る外貨買い
・円売りポジションを組もう、ということになります。したがって、ほとんど
の個人投資家は、「外貨買いのポジションを組む=円安に賭ける」という構図
になっているのです。
ここで、よく考えていただきたいのは、ローリスクで、「スワップ・ポイント」
による金利収入を得られるというのは誤りだということです。スワップ・ポイ
ント狙いで利益をあげた個人投資家は、いうなれば、「たまたま為替が円安傾
向だったから儲かった」だけなのです。ここ数年大きな為替の変動がなかった
こともあり、為替リスクに対して鈍感になっている個人投資家も多いようです
が、為替相場は、動くときには本当に大きく動きます。過去には1週間で20円
円高になったこともあるのです。為替が大きく円高に振れれば、金利収入を大
きく上回る損失が発生するリスクがあること、そして、そのリスクはレバレッ
ジを高めれば高めるほど大きくなることは、忘れないようにしてください。