株式投資に使われる指標として代表的なものにPER(株価収益率)がありま
す。PERは、以下の式により計算されます
PER(単位:倍)=株価÷1株当たり当期純利益
株価が500円、1株当たり当期純利益が20円のA社であれば、
PERは500÷20=25倍となります。
一般的に、「PERが高いほど割高、低いほど割安」という説明がなされます。
では、なぜPERが高いと割高で、低いと割安なのか、皆さんは考えたことが
ありますか?
PERを使いこなすには、まず、PERがどういう意味を持つのか理解する必
要があります。
PERの意味を理解するには、「株式益回り」という指標と関連付けるとよい
でしょう。株式益回りは、以下の式により計算されます。
株式益回り(単位:%)=1株当たり当期純利益÷株価
株価が500円、1株当たり当期純利益が20円のA社の株式益回りは、
20÷500=4%となります。
ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、PERは株式益回りの逆数になってい
るのです。
株式益回りという指標はあまり耳慣れないかもしれませんが、例えば上述のA
社の「株式益回り4%」というのは、A社に今の株価で投資したら、年率4%
のリターンが得られることを意味します。
企業が得た利益は、一部が配当金として株主に還元されるほか、残りは株主資
本に組み込まれます。株主資本は株主のものですから、上の例で言えば、投資
元本に対して年率4%の利益をA社が獲得することで、株主は配当金、もしく
は純資産の増加により投資元本の4%分のリターンを享受することになります。
一方、株式益回り4%は、PER25倍と同じことです。PERの側面から見れ
ば、今の株価で投資した場合、投資元本を利益によって25年で回収できること
を表しているのです。
ですから、例えばPER100倍のB社であれば、株式益回りは1%になります。
現在の株価で投資しても年率のリターンは1%しか得られない、PERの観点
からみれば、投資元本を利益で回収するのに100年もかかる、ということです。
一方、PER10倍のC社があるとすれば、その株式益回りは10%で、年率のリ
ターンは10%が期待できることになり、PER側からとらえれば、投資元本を
10年の利益で回収できることを表します。
B社とC社を比べれば、株式益回りでみればB社は1%、C社は10%となりま
す。PERではB社の100倍に対してC社は10倍です。
このように、PERが高い場合は株式益回りが低くなり、逆にPERが低けれ
ば株式益回りは高くなるのです。
こうしてみると、PERが高いと株価が割高、低いと逆に株価が割安、という
意味がお分かりいただけるのではないでしょうか。
しかし、残念ながら、PERは、高ければ割高、低ければ割安、と決め付けら
れるほど単純なものではないのです。実は、今までの説明は、利益の水準が将
来にわたって一定という前提がありました。
実際は、「PERが高くても株価は割安」、「PERが低いのに株価は割高」
というケースも頻繁に出てくるのです。
では、どうやってPERを使いこなすのか、その方法は次回以降、具体的にご
説明します。