8月19日、日本銀行が景気判断を2ヶ月連続で下方修正し、10年ぶりに景気判断につき「停滞」という文言を用いました。
いよいよ誰の目からみても景気悪化が鮮明になっていますが、株式投資においては必ずしも「景気悪化=株価下落」とはならないことに注意が必要です。
政府や日本銀行の出す景気悪化の判断は、実際に景気がピークアウトしてからかなり後になってから発表されます。これは、景気が一時的な停滞(踊り場)なのか、本当の景気悪化なのかを見極めるためにしばらく時間が必要だからです。政府も日銀も、本当は景気悪化ではないにもかかわらず「景気悪化」と発表することはできませんから、時間をかけて慎重に判断するのは致し方ありません。
今回も、政府や日銀が景気の悪化を認めたのはここ1,2ヶ月ですが、実際にはかなり前(2007年11月と言われているようです)に、すでに景気はピークを迎えていて、現在は景気後退局面に入ってからかなり時間がたっています。
そもそも、今回政府や日銀が景気悪化を発表したときには、すでに株価は大きく下がっていました。ですから、景気悪化宣言の後になって「景気悪化でさあ大変」と、慌てて持ち株を処分するのでは行動が遅すぎます。
本来なら、景気悪化の発表を待たずに、株価の動きから景気悪化を読み取り、投資額の縮小や損切りなどをすでに終わらせていなければいけないはずなのです。
実は景気後退局面はそれほど長くは続かないことが多いのです。過去には最短で9ヶ月というときもありました。もう2007年11月から9ヶ月以上経過しています。
よく言われるのが、「株価は景気の半年〜9ヶ月程度先行して動くことが多い」ということです。
確かに、ここ最近は、景気の動きと株価の動きは連動し、株価の先行指標性はなくなっているという指摘もあります。
しかし、たとえ景気と株価の動きがパラレルであったとしても、景気の底を、ピタリと判断することはできません。やはり、底打ちしてしばらく経ってから、「あのときが景気の底だった」ということが分かるのです。
ですから、これからは、株価の動きをにらみながら、株価が反転して底打ちしたタイミングを見極め、新規買いのチャンスをうかがうときなのです。
景気悪化宣言と同様、景気回復宣言も、実際の底打ちからかなり時間がたった後で行われるはずです。その頃には、株価はかなり上昇しているでしょう。それから買い始めていては、かなり出遅れてしまいます。もしかしたら、政府の景気回復宣言のときが株価の天井、ということも十分ありえます。
株式投資をするのであれば、景気後退や景気回復は、政府や日銀の発表まで待たずに、はたまたエコノミストや評論家の意見などは無視して、株価の動きから自らが判断するべきなのです。それを怠った投資家は、いつまでも「高く買って安く売る」ことになってしまいます。
景気悪化宣言後のこれからの日本株の動きこそ、要注目です。