為替市場ではユーロ、豪ドルなどに対して急速な円高が進んでいます。日本円は対ユーロでは150円割れと約2年ぶり、対豪ドルでは83円と約2年半ぶりの円高水準になりました。
為替相場は、数年サイクルで円高、円安を繰り返すことが多いですから、今回の急速な円高により、これまでの円安トレンドから、円高トレンドに完全に転換したといえます。
しかし、FX取引では、個人投資家のほとんどが、これほどの円高になっているのに、相変わらず「外貨買い・円売り」のポジションにしているというのです。
これは、株式でいえば「ナンピン買い」に当たるものです。円高局面において、将来の円安を見越して外貨買いを続けているわけです。
株式でもナンピン買いは危険といわれていますが、為替も同じことです。つまり、「将来の円安」に賭けて外貨買いのポジションを積み上げているのですから、もしも今後さらなる円高が続いたとしたら、多大な損失を被る可能性があります。
円高トレンドに転換している可能性が高いにもかかわらず外貨買いを続けている個人投資家の多くが口にするのが「外貨は金利が高いから、持ち続ければ円高になっても金利収入で元が取れる」ということです。確かにそうかもしれませんが、だとしても、以下のような点には十分に注意していただきたいと思います。
- 現在は高金利だが、将来的に金利が低下する可能性もある
- 想定している以上の円高になれば、元本割れを回避するために何年、何十年も保有し続けなければならなくなる恐れがある。
- レバレッジを効かせて投資していると、円安を待たずして追証で資金が底をつく恐れがある(=持ち続けることができない恐れがある)。
トレンドに逆らった投資手法(逆張り)が悪いとは言いませんが、リスク管理をきっちりとしないと、意に反してトレンドが長期間続いた場合は多額の損失につながります。
特に、FX取引のように、レバレッジを効かせた場合は、損切りもせずに逆張りで長期保有することは、最悪の場合、追証を払えなくなり、全財産をなくすことにもなりかねません。
レバレッジをかけずに、外貨預金や外貨建MMFなどに投資するのであれば、円高トレンドでも外貨投資で長期保有、という投資手法もありえるでしょう。しかし、FX取引などレバレッジを効かせた取引では、やはりトレンドに対して逆張りではなく順張りにするのが大怪我をしない秘訣です。
株価も為替も、将来どんな想定外の動きをするか分かりません。最悪のケースも想定して投資するようにしましょう。