筆者は、個人投資家がどのような情報を参考にして株式投資をしているかを知るため、マネー雑誌を読んだりすることがあります。
そのとき感じたのが、マネー雑誌には「この銘柄が買いだ」といった、「買い」についての特集記事や、長期・分散投資の重要性や実践方法について書かれた「保有」についての記事が多いということです。
株式投資における行動の1サイクルといえば、「買う」「保有する」「売る」の3つで構成されます。そして、この3つのうち1つでもおろそかにはできません。特に「売る」という行動は、「買う」「保有する」という行動を経た後の、株式投資の1サイクルのゴールですから、最も重要なものです。
しかしながら、この「売る」という行動については、どうもおろそかにされている気がしてなりません。
この根底には、「株価は長期的にみれば右肩上がりで上昇するもの」という意識が根強く残っているという事実があるように思えます。そのため、ずっと持ち続けてさえいれば利益になるのだから、あとはいつ売ってもあまり変わらない、ということなのでしょう。
でも、皆さんもよくご存知のとおり、10年、20年、30年持ち続けた株の株価が、買値を下回っているケースは枚挙に暇ありません。持ち続けても利益になどならないのです。さらに、これから10年後、20年後、30年後は、果たして株価は今よりも上がっているでしょうか?その答えは誰にも分かりません。唯一いえるのは、「今より株価が上昇する保証などどこにもない」ということだけです。
しかし、仮に日本経済が長期的にこれからも低迷するとしても、景気の変動と、それに伴う株価の変動は起こるはずです。したがって、買って持ち続けるのではなく、必要に応じて素早い損切りや、的確な売り時の見極め、といった売りの技術がこれまで以上に要求されます。
ちょっと前、塩漬け株の対処法について特集が組まれていたマネー雑誌がありましたが、塩漬けになってからでは遅いのです。マネー雑誌だけではなく、書籍なども活用して、損切りを含めた売りの技術を身につけることが、これからの激動の株式市場で生き残るためには必要です。