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第30回 海運株は今年も9月に向け上昇するのか2022.6.6 <著者プロフィール> 浜口準之助(はまぐち・じゅんのすけ) 約15年にわたり機関投資家のファンドマネージャーとして株式運用に従事。信託銀行などで主に年金資金の日本株運用を行う。その後約14年にわたり投信運用会社にて投資環境のセミナー講師に携わる傍ら個人投資家として株式運用を行い、「億り人」の仲間入りを果たす。「浜口流コア・サテライト戦略」を提唱し自らも実践している。「醍醐味に満ちたライフワークとして、株式投資に勝るものなし」との基本観から、個人投資家に実践的な株式投資手法の研究を続けている。 社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『黄金サイクルと農耕民族型投資戦略』(パンローリング刊)、ブログ 浜口準之助のテツ・ホテル・グルメ・株式運用 をほぼ毎日更新中、こちらでは旅の話もしている。
この状況において、ここ2週間で私が行った売買は。前回のブログでも書きました、「日本郵船買い・川崎汽船売り」のさや取りについて、増し玉をしています。またこの表にはありませんが、4385メルカリを。同銘柄の株価が暴落する一方で、メルカリはプライム市場に格上げされ、それに伴い株価が底打ちしたと判断された。これも後述しますが、このタイミングでグロース系の銘柄を少しは持っていてもいいかなとも思い、新規購入しています。加えてこれを根玉にして、つなぎ売りを繰り返しています。 一方で前回の当ブログで「株価が思うように下落しないため、売り建てをすべて手仕舞いました」とした6857アドバンテストは、再度空売りの試し玉を入れています。 以下、アドバンテストの日足チャート。上が直近株価5月6日時点、中がその2週間後、5月20日時点、その下がさらに2週間後、6月3日時点の日足チャートです。 アドバンテスト(5月6日) アドバンテスト(5月20日) アドバンテスト(6月3日) 日本株の相場観については、長期的には基本、これまでと変化なしなのですが、目先は大きく下落したグロース株が、一時的に戻り相場を至現すると考えます。 米国ではNYダウ・S&P500はここもと、90年ぶりに8週間連続下落する等、とても軟調な動き。国内のグロース株もそれに引きづられる展開となっています。しかしながらこの米国株式の下落はさすがに行き過ぎと思われ、相応の反動高が期待されます。つれて国内のグロース株も米国同様、ある程度の戻り相場が期待できるものと考えます。当面は、係るグロース株の戻りと、これまでの景気敏感バリュー株の上昇がともに発生する相場展開を想定しています。 次に8801三井不動産買いと8802三菱地所売りのさや取りについて。 グラフをご覧ください。 8801三井不動産と8802三菱地所(5月6日) 8801三井不動産と8802三菱地所(5月20日) 8801三井不動産と8802三菱地所(6月3日) 8801三井不動産と8802三菱地所の比較チャート。上が直近株価5月6日時点、中がその2週間後、5月20日時点、その下がさらに2週間後、6月3日時点の両銘柄の過去三ヶ月の比較チャート・相対株価を示したものです。 今回も前回と同様、ここ2週間で目立ったさやの動きは発生していません。従い、両銘柄については、現状は引き続き「待ち」、次の仕掛けのタイミングを待つところと考えます。 一方で、日本郵船買い・川崎汽船売りのさや取りについて、冒頭でも書きました通り、両銘柄のさやはさらに拡大し、川崎汽船と日本郵船との間で株価逆転が発生しています。 両銘柄のさやの拡大の背景については、前回の当ブログで解説していますので、そちらをご覧ください。ここは日本郵船買いー川崎汽船売りのさや取りポジションを増し玉して良い状況と考えており、実際私は、そうしています。 さや取りを行う建玉株数は、日本郵船1,000株買いに対し、川崎汽船売り1,000株と、同株数で良いと思います。 さて、今回のテーマ、「海運株は今年も9月に向け上昇するのか?」について考えていきたいと思います。 お示ししているのは、日本郵船の過去一年の週足です。今後の海運株については、昨年9月にかけてと同様の展開を想定しています。チャートの中で赤丸で囲っている部分ですが、 9月後半にかけて上昇し、どこかで天井打ちするイメージです。 そう考える背景は、三つあります。一つには足元でコンテナ市況が高止まりしている一方、海運大手三社の今期業績見通しが減益であることから。この業績見通しはおそらくは保守的に過ぎ、早晩、上方修正されると思われること。加えて、9月に中間配の権利落ちがありますが。高配当利回り銘柄は概して、「配当取りをしたい」と考える投資家の買いが集中することにより、権利最終日にかけ大きく上昇する傾向があること。以上に加えもう一つは、ここに来て海運株の人気が、「ブーム」と言えるほど高まっていて、新たな投資家の買いが期待できること。こう言っては失礼ですが、 この手の投資家は概して初心者が多く、彼らは高配当であることを素直に評価し、9月に向け海運株を買ってくるのではないか。そう考えます。 私は銀座にある投資家バーによく行くのですが、ここに来ると、「なるほどな・・・」と思わされることがよくある。一年前に私がここで、「日本郵船は買いだよね」と申し上げると、「それは日本郵政ですか?」との声が、複数から聞こえてきた。 当時は海運株は、不人気銘柄だったわけですね。ところが今はそんなことはない。海運株はすっかり、人気銘柄になってしまった。投資家バーで飲んでいても、バーの中、いろんなところで、日本郵船について話している声が聞こえて来る、そんな状況です。以上三つの点から、海運株は今年も9月に向け上昇する、そんな展開を想定しています。 このシナリオのリスクは何か?やはり今後のコンテナ市況ですね。高止まりしているコンテナ市況が早めに下落してしまうとなると、このシナリオは頓挫することになる。どうなるか・・・と、ここまでですね。 海運株投資家には、Good Luck!というところですね。 以上です。今回はこの辺で。みなさんの株式運用の参考になれば幸いです。 なお皆さんの株式運用は、くれぐれも自己責任でお願いします。ここは再強調させていただきます。 キーワード検索: #バリュー投資 #アノマリー #株式サヤ取り |
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