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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/04/15 13:09, 提供元: フィスコ 井関農 Research Memo(9):期中に修正したが、ほぼ想定どおりの着地*13:09JST 井関農 Research Memo(9):期中に修正したが、ほぼ想定どおりの着地■井関農機<6310>の業績動向 1. 2024年12月期の業績動向 2024年12月期の業績は、売上高が168,425百万円(前期比0.9%減)、営業利益が1,920百万円(同14.8%減)、経常利益が1,577百万円(同24.6%減)、親会社株主に帰属する当期純損失が3,022百万円(前期は29百万円の当期純利益)となった。プロジェクトZの進行に伴い、2024年7月に井関松山製造所と井関熊本製造所を合併してISEKI M&Dへと社名変更、2025年1月にはヰセキ北海道など国内販売会社6社他を合併してISEKI Japanへ商号変更、同月に英国の販売代理店PTC社を子会社化した。なお、熊本の生産終了など詳細判明により2024年7月に追加的に発表したプロジェクトZに関わる特別損失を見込み業績予想を修正したため、期初予想と比べて親会社株主に帰属する当期純損失3,422百万円の未達になったが、修正予想に対してはおおむね想定どおりの着地となった。 日本経済は各種政策効果もあり景気は緩やかに回復したが、物価上昇や中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動など先行き不透明な状況が続いた。このような環境下、同社は、国内では変化する農業構造への対応を強化、海外では主力市場である北米、欧州、アジアの需要を精緻に捉えることで、収益の向上と事業拡大に努めた。この結果、売上高は国内が横ばい、北米とアジアの苦戦で海外が減収となった。利益面では、減収減産となった一方で、原材料など仕入価格高騰の影響が軽微に留まったうえ、国内外で実行した販売価格改定の効果が大きく顕在化、為替の影響や在庫圧縮の効果もあって、売上総利益率がプロジェクトZ実行前の水準を超えて大きく上昇した。販管費については、為替の影響を極力抑えるためこれまで輸出入や決済通貨のバランスをとってきたが、特にユーロを中心に円安へ大きく振れたため、人件費などを圧縮したものの増加することとなった。営業外損益では為替差益が減少し持分法による投資損失が拡大、特別損益では熊本製造所の生産終了などに伴って減損損失と事業構造改革費用が発生した。特別損失の計上に伴い純資産は減少したが、棚卸資産と有利子負債が減少したことで財務体質が改善、営業キャッシュ・フローも大きく黒字転換した。 エリア別の売上高は、国内事業が113,031百万円(前期比横ばい)、海外事業が55,394百万円(同2.6%減)となった。 国内では、第1四半期に行った価格改定を前年同期より1ヶ月早めたことで需要期入りする3月が低迷したが、年央以降の米価上昇による需要回復によって一部カバーし、通期の売上高は横ばいに留めた。国内の製品別売上高は、農機製品ではトラクタや耕うん機などの整地用機械が21,264百万円(前期比3.7%減)、田植機や野菜移植機などの栽培用機械が6,574百万円(同9.1%減)、コンバインなどの収穫調整用機械が16,346百万円(同3.8%増)となった。このほか、作業機・補修用部品・修理収入が44,275百万円(同4.2%増)、施設工事などその他農業関連が24,570百万円(同3.6%減)となった。特に以前より収支構造改革の柱としてきた作業機・補修用部品・修理収入は、メンテナンスの増加により補修用部品が同5.9%増収、修理収入が同3.7%増収と好調だった。 海外では、コンパクトトラクタ市場が弱含んだため北米の売上高が11,256百万円(前期比21.3%減)、韓国での在庫調整の実施とアセアンの需要軟調によりアジアが4,992百万円(同38.7%減)とそれぞれ苦戦したが、欧州は景観整備向け製品や仕入電動商品の好調に円安効果が加わり、38,549百万円(同15.9%増)と好調だった。海外の製品別売上高は、トラクタや芝刈機など整地用機械が36,030百万円(同8.6%減)、田植機など栽培用機械が1,019百万円(同44.2%減)、コンバインなど収穫調整用機械が587百万円(同56.7%減)となった。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《HN》 記事一覧 |