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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/04/28 13:30, 提供元: フィスコ KLASS:自動壁紙糊付機は圧倒的なシェア、メーカー以上サービス産業未満の立ち位置を追求*13:30JST KLASS:自動壁紙糊付機は圧倒的なシェア、メーカー以上サービス産業未満の立ち位置を追求KLASS<6233>は、1948年に日本住宅に最も関連の深い畳の製造機器メーカーとして創業された。以来一貫して職人が手でおこなってきた仕事の自動化・省力化を開発コンセプトとし、「豊かな生活空間作り」「快適な職場環境作り」を使命として、オリジナル製品の開発により市場を創造し事業を拡大してきた。単なる機械メーカーとは異なり、機械・設備を導入した顧客の発展を期したハード・ソフト両面の指導支援をおこなっている。 セグメントは、プロフェッショナル(2024年9月期売上高構成比68.4%)、コンシューマ(同7.2%)、インダストリー(同17.6%)、ニュー・インダストリー(同6.8%)の4つに分かれている。ただ、当該年度については、プロフェッショナル・コンシューマは営業赤字となっており、全社的な利益を牽引しているセグメントはインダストリーとなる。 プロフェッショナルセグメントは、インテリア事業部門と畳事業部門、および新設のS&N(ソリューション&ネットワーク)事業部門で構成されている。インテリア事業部門は、内装工事業者向けの自動壁紙糊付機等のインテリア内装施工機器や施工工具、内装工事用テープ等の資材を販売するほか、内装工事の近接市場である建機レンタル市場やデジタルプリンティング壁紙市場等に機器、工具を販売している。日本初の自動壁紙糊付機は圧倒的なシェア(同社推定90%)を維持しており、アフター対応と商品提案力により他社より優位に立っている。また、畳事業部門は、畳店にコンピュータ式畳製造システム等の畳製造システムならびに関連する工具・副資材等を販売、ユニークな差別化戦略を提案して売上トップシェア(同社推定40%)となる。一方、2024年10月に新設されたS&N事業部門は、インテリア・畳の両事業部門で長年築いてきた顧客ネットワークを活用して、業務用クラウドシステムの提供、業務用ソフトの販売とシステム開発、プリンターと関連コンテンツの販売等を行う。 コンシューマセグメントは、特殊機能畳(葬祭用畳・柔道畳・お風呂用畳・リバーシブル畳他)等のインテリア商品の販売、各地のJA等を窓口とした一般家庭向け畳替え・襖替え工事の仲介事業を行う。技術力・商品力を活かした新商品と顧客畳店ネットワークを活用。防振性・防音性に優れたフィットネスクラブ用床材 「ジムボード ネオ」の販売が極めて好調のようだ。ソーラー・エネルギー事業部門では、メガソーラー発電所 「三日月サンシャインパーク」を保有。 インダストリーセグメントは、産業機器事業部門、食品機器事業部門で構成されている。産業機器事業部門は、顧客の要求仕様に基づくオーダーメイド産業機器の提供事業で、二次電池製造設備ラインをはじめとする脱炭素関連装置や液晶・半導体製造ラインの一部機械等を設計・開発・製造。また、食品機器事業部門では、大手牛丼チェーンをはじめ和食レストランや回転寿司チェーン等のフードサービス店に自社開発のみそ汁・だし・スープ用多用途型のディスペンサー等の厨房用食品機器を販売している。新工場棟建設により、より大型・大量の受注が可能となっている。そのほか、ニュー・インダストリーセグメントは、子会社化した株式会社ROSECCが、自動車業界を中心にウォータージェット技術、ロボット技術を活かした各種の自動化システムを企画・開発・販売している。 2025年9月期第1四半期の売上高は前年同期比2.5%減の2,146百万円、営業損益が17百万円の黒字に転換して着地した。プロフェッショナルセグメントとコンシューマセグメントが前年同期を上回るスタートを切った。大手壁紙メーカーの物流倉庫向け壁紙検尺機が予定通りに納入開始となり売上に貢献したほか、自動壁紙糊付機も買い換え需要が回復しはじめたもよう。また、コンシューマ事業は、需要が回復した棺用畳が生産の国内シフトに伴う利益率アップと相まって好調に推移した一方で、前期好調だったフィットネスクラブ向け防音・防振床材等の売上がやや停滞したようだ。通期の売上高は前期比7.3%増の10,500百万円、営業利益が同2.6倍の300百万円を見込んでいる。前期に不振だったプロフェッショナルセグメントを増収の牽引役として、コンシューマ、ニュー・ インダストリーの2セグメントも2 ケタ増収を想定。一方、インダストリーは前期好調の反動を想定して減収見通し。 同社は職人技術の自動化・省力化ノウハウを生かした「技術力」、高い製商品「開発力・提案力」に加えて、「ストックビジネス(プロフェッショナルセグメント)」と「フロービジネス(その他の3セグメント)」の2本柱により「安定性」と「成長性」を両立している。研究開発費は漸増トレンドを継続させている一方で、設備投資は大規模なものはほぼ一巡。当面はこれまでの投資の成果を確認するフェーズに入るが、特許取得件数は425件と順調に拡大、先行指標となる特許出願数も732件と高水準を維持している。「真似はされても真似するな!」という理念のもと、創業以来のプロフェッショナルセグメントが技術力と商品力を駆使して新商品・新市場を作り続けており、これが同社の競争優位性にもなっている。 中長期的には、2027年9月期を目途に売上高12,500百万円、ROE 10%以上を掲げ、その後早期に売上高15,000百万円・ROE12%以上を目指していく方針。顧客ニーズ掘り起こしによるインダストリーセグメントの事業拡大に加えて、製造業の枠を超えた「2.4次産業型企業」を目指し、コンシューマとインダストリーを戦略的に強化していく。メー カー以上サービス産業未満の立ち位置を追求し、引き続きオリジナル製品を生み出して新たな顧客と新たな市場を創造し続けるメーカーとしての強みを発揮し、これまで築いてきた顧客ネットワークを活用して製品・サービス提供を行なっていく。そのほか、株主還元では、安定配当の維持を基本としつつ今後の事業展開等を勘案して配当を実施していく方針。PBRが1倍を下回る中、上場維持基準への適合に向けて流通株式時価総額の達成を目指す同社の今後の動向に注目しておきたい。 ・2.4次産業・・・製造業(2次)とサービス産業(3次)の互いの接近がコロナを契機に加速するが、各々の基本的性格の転換までは行かず、2→2.4で、3→2.6 で留まるであろうという一橋大学名誉教授伊丹敬之氏の言説 《HM》 記事一覧 |