私事で恐縮ですが、同書は私がヘッジ・ファンドに携わるきっかけを与えてくれた本です。ヘッジ・ファンドには以前より大変興味をもっていましたが、噂話に近い内容の情報は氾濫しているものの、国内において適当な参考文献がなく、アメリカから専門書を取り寄せようと目論んでいた一年ほど前のことです。
内容は部分的に難解な個所もありますが、決して実務家のためにかかれたものではなく、多少時間をかければ一般読者でも読みこなせると思います。なかんずく、低金利、運用難が恒常化しつつある現状においては、自分の資産の投資先としてヘッジ・ファンドを加えることは自然のなりゆきのように思います。とはいっても、世界中に何千とあるヘッジ・ファンドの中からどれを選択すればよいか金融のプロでなくとも迷うところです。そこに、この本の価値があります。著者は特定のファンドを薦めることをあえてしていません。それよりも、ヘッジ・ファンドの中身を分析するうえでのポイントについて懇切丁寧に充分な説明がなされています。
再度、私事で恐縮ですが、この本をきっかけに訳者の知遇を得て、現在、ヘッジ・ファンドに関連する業務に従事する私の机には今でも「ヘッジ・ファンド投資入門」が鎮座しており折にふれ読み返すことをこころがけています。資産運用はなにも一部のプロフェッショナルだけに係ることではありません。我々すべてが、長い人生を送る上で常に考えなければいけない課題のように思います。この本が多くの方の人生設計、資産形成に意義深い示唆を与えてくれることを確信しています。