大手ヘッジファンド会社の日本代表という実務経験を有する著者は、日本資本主義の基礎を築き上げた渋沢栄一翁の子孫の方です。本書は、投資本にありがちな手法説明で終わることなく、ヘッジファンド業界の内情、ヘッジファンド業界スーパースターの意外な一面、難しいと思われがちなオルタナティブの世界を面白く、読みやすく書かれています。ヘッジファンドを紹介している数多の日本経済の不安を煽る本と一線を画します。
『リスクとは危険ではない。むしろ、積極的にリスクと向い合い「機会」としてみれば「攻め」、「危機」とみれば「守る」これが「リスク」とのつき合い方である』(本文抜粋)
銀座のホステスの仕事も全く同じです。担当するお客さまの飲食代金に責任を持つことから、リターンを上げようと思えばリスクも上がる。お客さまには、いい面も悪い面もありますが、そことどう向き合うのか、ビジネスにも役立つ箇所が多く共感いたしました。
ヘッジファンドマネージャーも銀座ホステスも勝ち続けないと生残れない世界です。
信じられるのは、自分の直感で全て自己責任です。そしてチャンスは他人から教えられるものではなく自分で見つけるものです。本書にもプロの厳しさが臨場感溢れて描かれています。
わたしが投資においてキャッシュ・ポジションの重要性を再確認した箇所に、プロのヘッジファンドマネージャーが口を揃えて言うセリフがあります。
『一番くやしいときは相場が外れたときではない。相場観が当たっていて、ポジションを持っていないときだ』(本文抜粋)
プロとアマチュアの投資の違いは思考とその行動です。ヘッジファンドに興味がなくてもお奨めする一冊です。
最後の渋沢家の家訓は必見です。