直木賞作家・石田衣良氏による長編小説。株式市場を舞台に繰り広げられるダイナミックなクライムサスペンスに、株をやったことのある人なら誰もが引き込まれてしまうはず。
謎の老紳士、小塚老人が主人公である就職浪人中の青年にマーケットの読み方を手ほどきするシーンでは、まるで自分が小塚老人と1対1でレクチャーを受けているような感覚を味わうことができます。登場人物の人物設定が非常に緻密であることもストーリー全体に臨場感があふれている所以でしょう。
引き込まれて読んでいるうちに、何がマーケットを突き動かし、投資家の心理を揺さぶっているのかを、これまでと違った視点から捉えている自分がいることに気づきます。投資家ならずとも一度は読んでおきたい、珠玉の経済小説です。