私はもともとデジタル信号処理の研究を行っていました。数年前、ちょうどFXトレードに興味を持ち始めた頃、専門のデジタル信号処理の技術がトレードに生かせないものだろうかと情報を探していました。
そんな時に見つけたのがこの本でした。タイトルには「ロケット工学」とありますが、原文のサブタイトルには「Digital Signal Processing Applications」と書かれています。やっぱりデジタル信号処理の技術が使えるんだ!と小躍りしたのを憶えています。
本書はデジタル信号処理の専門書に比べれば、かなりわかりやすく書かれていますが、やはり、本書で展開されているサイクル理論を理解するには、高校や大学レベルの数学の知識が必要となります。
そういう意味では、誰にでも簡単にわかるという本ではありませんが、難しそうに見える数式で表現されている理論も、簡単に言えば、テクニカル分析の基本である移動平均の応用です。移動平均のマーケットに対する遅れを小さくする、シグナルのダマシを減らす、相場に合わせてパラメーターを適応化させる、など他のシステムにも適用できる考え方が詰まっています。
多くのトレーディングシステムと同様、掲載されているシステムがどんなマーケットやどんな局面でも機能するというものではありませんが、本書で紹介されている斬新なアイデアは、多くのシステムトレーダーの皆さんにとって参考になることだと思います。
実際、多くのブログで紹介されており、特に理系出身のトレーダーの間では隠れた名著として知られているようです。