システムトレードの構築・運用においても理解が不可欠な不確実性やランダム性とは何なのか、その本質を鋭く指摘した本です。
不確実性やランダム性は、拡張できる(scalable)かできないかで二つに分類することができます。本書の著者のNassim Nicholas Talebは、その二つを「果ての国」と「月並みの国」という名前で呼んでいます。
月並みの国における不確実性やランダム性は拡張不可能なもので、その国の典型的な産物は、体重や身長やカロリー摂取など物理的制約を強く受ける物理的な数量です。一方、果ての国における不確実性やランダム性は拡張可能なもので、典型的な産物は、所有財産など社会的な問題を表す数量で、物理的な数量ではなく情報としての数量です。
グローバル経済と情報通信テクノロジーの発展は、幸か不幸か、世界から月並みの国の領域をどんどん小さくし、果ての国の領域が世界中を覆いつくす状況を作り出しました。本書「ブラック・スワン」は、そのような果ての国が世界の隅々まで覆いつくしつつある時代に、実証的懐疑主義者として知識、認識をどのように考え、どのように生きるべきかを書いた娯楽哲学エッセイです。
実証的懐疑主義者として生きていると人生が辛くなる時があるかもしれません。そんな時には、ぜひこの本を読むべきでしょう。15ページに一度は大笑いでき、読んだ後はとても爽快な気分になり元気が出ているはずです。