著者は現役の世界トップクラスのヘッジファンドマネージャーです。日本人の方ですが、ロシアを拠点に活動されているので、日本では知らない方のほうが多いかもしれません。
この本は第1章から順番に読むのではなく、第8章をまず先に読むことをおすすめします。
トップクラスの投資家は共通して、知識がある以上に深い理解をする、いわゆる「頭のいい人」が多いですが、どういう思考をしているのか、シミュレーション思考というテーマで、第8章に示されています。
「幅広い世界への好奇心」、「地政学知識の高さ」、「お金の知識の奥行き」と、3つの立体的な軸でその思考力を体系化しており、第8章の内容を踏まえてから、第1章から順に、それぞれの内容を具体例として見るように読んでいくと、思考感覚がつかみやすくなります。
著者は他にもいくつか出版していますが、個人的には本書で書かれている文章が最も著者本人の言葉に近いと感じています。そのため、読みやすさの面では他の書籍のほうが読みやすいかもしれませんが、投資トレード経験のある方であれば問題なく読み進めることができる読みやすさだと思います。もし本書が読みづらいと思われた場合は、『シミュレーション思考』(総合法令出版)のほうが良いかもしれません。
タイトルの通り、世界史を通じてファンダメンタル分野の基礎レベルを上げる意味でもおススメですが、それ以上に投資のレベル、特にテクニカル分野以外の部分をどうやって上げていけばいいのか、わからず悩んでいる人にとっての行動(思考)指針として、おすすめの1冊です。