ヘッジファンドの帝王、ジョン・ポールソンが、2012年までに金先物価格が1オンス4000ドルまで上昇すると驚かせた。
そして、金は遂に、連日最高値を更新し続け、遂に1400ドルを突破した。(1オンス=1400ドル前後 2010年11月現在)。とにかく目が離せない金市場である。
その歴史的な金価格の上昇の背景として、日米欧の財政不安、ドル、ユーロ、円といった主要通貨の不信感、デフレ懸念とインフレ懸念の共存、超低金利政策の継続、中国やインドなどの新興国の経済の成長、年金基金や富裕層の金ETF市場の参入、金の生産量の伸び悩み、といったことが取り上げられている。
資産のヘッジとして金の購入を考える人が増えているが、一方では、既に金は過去最大の高値圏であり、実需を伴わない金融主導の上昇相場であるともいわれ不安と警戒感が高まっている。
金価格は本当にバブルなのか?デフレで金は下がるのか?円高どうなるのか?ドル高なのに金も高くなるなど、金には謎が多い。
金は通貨(カレンシー)でもあり、商品(コモディティ)でもある。通貨系と商品系の異なる人種が共存しているのが金の世界である。ドルやユーロなど主要通貨や金融システム全体への市場の不安が強ければ、金は買われる傾向にあり、米国が利上げに動けば金利の付かない通貨として売られやすい。一方、コモディティとしては需要拡大が見込まれ原油と同じ動きをすることもあれば、原油とまったく逆の値動きをすることもある。
本講演では、客観的な立場に立ちながら冷静に金価格上昇の要因を確認し、金を理解した上で、自らの投資のスタイルを確立したい。
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