約半年前に書いた前回のコラム(『ETFは世界を変える』)では、最後にこう書きました。
「数年後には、日本でもETFが本格的なツールになるときが必ず来ます。その時までずっ〜と注目したいと考えています。」
その時は、ETFがブレイクするのは数年後では?と考えていたのですが、実際は、そのペースがどんどん早くなってきています。
大阪証券取引所に金価格連動ETF(運用:野村アセットマネジメント)が上場したのに引き続き、東京証券取引所もETFの上場規則改正を行い、その第1号として、ニューヨーク証券取引所に上場している金ETFの上場を決定するようです。
今回、東証で上場するのは、米ステート・ストリートがニューヨークで上場している金ETF(streetTRACKS Gold Trust:GLD)と言われています。このETFは金の現物を保有するETFですから、投資家にとっては現物の代わりに金を保有できる、画期的なETFに仕上がっています。
この金ETF(GLD)の金保有額は202億ドル(約2兆円:2008/3/8現在)となっており、世界最大の金ETFにして、ETF全体で見ても純資産総額ベースでは世界で5番目に大きいETFになっているのです。
チャートを拡大する(チャートギャラリープロで作成)
そのほかにも、東証には金ETFに加えてさまざまな商品ETFが上場してくるでしょう。アメリカでは既に金、銀、原油、そして核燃料ETFまで上場されています。(核燃料ETFは、アメリカン証券取引所に Market Vectors Global Nuclear Energy ETF (NLR) が上場されています。)
さて、国内の資産運用会社もETFの拡充を図るようです。これは、金商法の改正によって、新たに国内の22の株式指数に連動するETFが上場することが認められ、金融庁が昨年末公表した「金融・資本市場競争力強化プラン」でも商品ETFの拡充も提言されていることが追い風になっているのですね。
この流れを受けて、野村アセットマネジメントによる業種別株価指数に連動する上場投資信託(ETF)17本が、3月25日に東証に上場します。日興アセットマネジメントの日本の新興株指数に連動するETFと規模別のTOPIX指数に連動するETF3本は、それぞれ3月11日と3月24日に東証に上場します。
これで、国内に上場されている18本の既存のETFに加え、新たに21本の新しいETFが加わり、国内証券取引所に上場されているETFは39本になります。
報道によれば、大和投信もイスラム法に準拠した日本株指数連動型ETFを年央にもシンガポール取引所に上場する予定とのこと。機関投資家にも個人投資家にも、ETFはどんどん身近な存在になってきているのではないでしょうか。
こうした動きを鑑みると、世界のどこにいても殆どのETFは購入できる可能性があります。というのもニューヨーク証券取引所は欧州のユーロネクストと合併しましたし、東証もニューヨーク証券取引所との提携を打診されています。
仮に、世界中の証券取引所が単一のプラットフォームで運営されるとなると、資産運用会社としては自国内でのみ売買できるローカルな投資信託の開発を、グローバルなETFへの開発へと変えていかなければならないかもしれません。
海外投資家にとってみても、日本の投資信託にはとてもユニークなものが盛りだくさんです。毎月分配型、元本確保型、リスク限定型、ブルベア型、スポット型などなど。これらの投資信託が上場されて、一般の株式と同じように取引できるようになれば、日本の資産運用市場にとっては画期的なことです。
そう遠くない将来、世界中のETFが自宅のパソコンで売買できるようになると予想するのは、それ程荒唐無稽な事ではないかもしれませんね。
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