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第16回 PER、PBR、配当利回りを使いこなそう(導入編)

2007/12/18

投資の検討対象となっている銘柄が割高か、割安かを判定するために、さまざ まな指標が使われます。その中でも、最もポピュラーなのが、 「PER(株価収益率)」、「PBR(株価純資産倍率)」、「配当利回り」といっ たところでしょう。

簡単にこれらの指標を説明しますと、以下のようになります。

・PER:株価を1株当たり当期純利益で割って求める(単位:倍)。
株価が1株当たりの当期純利益の何倍まで買われているかを表す。

・PBR:株価を1株当たり純資産で割って求める(単位:倍)。
株価が1株当たりの純資産の何倍まで買われているかを表す。

・配当利回り:年間配当額を株価で割って求める(単位:%)。
現在の株価で買えば、株価の何%の配当収入が得られるかを表す。

まずは、各銘柄が、PER、PBR、配当利回り、あるいはその他の指標のうちどれ を根拠に株価が形成されているのかを見極めることが重要です。

例えば、PER、PBR、配当利回りが以下のような3つの会社があるとします。

A社:PER10倍、PBR4倍、配当利回り1%
B社:PER80倍、PBR0.6倍、配当利回り1.5%
C社:PER60倍、PBR2倍、配当利回り4%

これら3社の株価が割高か、あるいは割安か、どのように判定すればよいでし ょうか。仮に、PBRだけで判定しようとすると、0.6倍と最も数値が低いB社が 最も割安と判断できます。

では、PBRが4倍であるA社の株価は割高なのでしょうか。実はそうとも言い切 れません。なぜなら、A社のPERは10倍と、かなり低い数値になっているからで す。PERで見れば、A社の株価は割安なのです。

同様に、PBRが2倍のC社はどうでしょうか。これも、配当利回りという指標に 着目した場合、4%という非常に魅力的な数値になっています。 つまり、A社、B社、C社ともに株価は割安な水準にあるといえるのです。

このように、どの銘柄もPERだけ、PBRだけ、配当利回りだけ、といった具合に 1つだけの指標を基準として株価の高安を判断しようとすると、往々にして誤 った判断になりがちです。少なくとも、PER、PBR、配当利回りの3つの観点か ら判断するようにしましょう。

ただし、ここで気をつけなければいけない点があります。 株式投資の入門者向けの書籍では、例えば「PERが低ければ割安だから買い」 「PBRが1倍を切っていたら株価は割安」「配当利回りは高ければ高いほどよい」 という説明がなされています。

この説明は、確かに根本的には誤ってはいません。しかし、実際にPER、PBR、 配当利回りを判断基準に銘柄を選ぶときは、もう少し突っ込んだ分析をしない と、銘柄選びを誤ることになりかねませんので注意が必要です。実践的にPER、 PBR、配当利回りを使いこなす方法については、次回以降にご説明します。


足立武志
公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェッカー取締役

1975年生まれ 神奈川県出身 一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活 動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情報の提供に努めている。

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