バリュー投資の強化書 良いビジネスを安く買い、高く売るための分析手法
角山智
パンローリング
四六判 上製本 422頁 2008年5月発売
本体 2,800円 税込 3,080円
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単に、“割安”なものを選んで買うだけではバリュー投資とはいえない。
良いビジネスを安く買うことこそが本当のバリュー投資だ!
PERやPBRといった指標を参考に、緻密な計算をして、
「これは割安だぞ!」と思える銘柄を買ったとします。しかし、数カ月後、株価は思ったほど上がらないとします。いや、上がらないだけならまだ救われますが、逆に下がってしまったとします。このとき、あなたならどう感じるでしょうか。おそらく「こんなに割安なのにどうして?」という疑問ばかりが頭の中を巡ることと思います。
明らかに“割安な銘柄”を買ったにもかかわらず、株価が思うように上がらないのは何故なのか。実は、とても大事な以下の4つの視点のうちの3つが抜けているがゆえに、このような現象が起こるのです。
- 良いビジネスを見つけること(定性分析)
- 安く買うこと(定量分析)
- お金の流れに乗ること(経済動向)
- みんなの気持ちがわかること(市場心理)
この4つがつなぎ合わされば、「良いビジネスを安く買う。そうすれば、みんなに高く売れる」こと、つまり“本当”のバリュー投資になります。逆に言えば、この4つのどれかひとつでも欠けたらバリュー投資とは言えません。これは、同時に、「安く買うこと(定量分析)=バリュー投資ではない」ことにもつながります。
本書では、上記の4つについて解説しています。
“良いビジネスを見つける”ために行う「定性分析」については、決算書(有価証券報告書)を参考にしながら、ファイブフォース分析などで読み解いていく内容になっています。
“安く買う”ために行う「定量分析」については、決算書の見方を中心に、“どこに注目すればいいのか”を解説しています。
“高く売る”ための土台として考えておかねばならない「お金の流れに乗ること(経済動向)」と「みんなの気持ちがわかること(市場心理)」については、マーケットの潮流を読むコツや行動ファイナンスに代表される投資家心理について説明しています。
本当のバリュー投資とは「安く買う」ことではありません。「良いビジネスを安く買うこと」こそが本当のバリュー投資なのです。
本書の主な内容
- 「良いビジネスを見つけること(定性分析)」「安く買うこと(定量分析)」「お金の流れに乗ること(経済動向)」「みんなの気持ちがわかること(市場心理)」について解説。「良いビジネスを見つける」ための定性分析と、「安く買う」ための定量分析については詳説
- 安く買える”銘柄の見つけ方を大きく4つのステップに分けて解説
- 決算書のどこに注目すれば“地雷”を踏まずにすむかを解説
- PERやPBRという一般的なバリュエーションだけではなく、PMVと呼ばれる新しいバリュエーションについても解説
- 決算書(有価証券報告書)を参考にしながら定性分析を行う手法についても解説
- マーケットの“潮流(景気がいいのか、悪いのか)”が把握できる簡単な方法を紹介
- “高く売れる”ためには欠かせない市場心理についても解説
本書を読んでほしい人
- まじめに投資を考えている人
- 自分の力量をさらに上げたいと考えている人
- バリュー投資に興味のある人
- 「割安と思える銘柄を買ったものの、自分の考えているような上がり方をしなかった」など、バリュー投資には限界があるかもしれないと考えている人
- 中長期的に、パフォーマンスを向上させたいと考えている人
目次
まえがき
第1章 「M社の悲劇」は避けられなかったのか?
1-1 なぜ、M社は破たんしたのか?
1 V字型回復のはずが……
2 一見、低PBRのバリュー株
3 原因はどこにあったのか?
1-2 死相が出ていたバランスシート
1 売上と利益だけが決算書ではない
2 バランスシートは火の車だった
3 キャッシュフローが真実を物語る
1-3 業績悪化企業にはパターンがある
1 崩壊していたビジネスモデル
2 破たん原因は過大な在庫だった
3 業績はこの順番で悪化する
4 大方の業績悪化は予知できる
5 投資家としてレベルアップを
第2章 安く買うための定量分析「決算書分析の視点」
2-1 決算書分析の4ステップ
1 みんな売上と利益しか見ていない
2 決算書分析の手順
2-2 利益、資産、CFのバランスをチェックする(ステップ1)
1 チェック1とチェック2:過去5年間のバランスをチェック
2 チェック3:ROIC(利益と資産のバランス)をチェックする
3 チェック4:アクルーアルズ(利益とキャッシュフローのバランス)をチェックする
4 チェック5:CFROA(資産とキャッシュフローのバランス)をチェックする
5 ステップ1のまとめ
2-3 バランスシートの時系列分析(ステップ2)
1 チェック1:利益は出ているか
2 チェック2:儲かっているか
3 チェック3:製品は売れているか
4 チェック4:設備投資はできているか
5 チェック5:借入金は減っているか
6 ステップ2のまとめ
7 当座比率とD/Eレシオ
8 キャッシュ・フローを逆読みする
9 バランスシートでほとんどわかる
2-4 損益計算書で「利益の質」を確認しよう(ステップ3)
1 利益には裁量の余地がある
2 キヤノンの利益率を確認する
3 チェック1:貸借対照表と損益計算書の関係
4 チェック2:会計基準
5 チェック3:売上債権回転月数
6 チェック4:棚卸資産回転月数
7 チェック5:有形固定資産の減価償却方法
8 ステップ3のまとめ
2-5 キャッシュ・フロー計算書で「姿勢」がわかる(ステップ4)
1 チェック1:営業CFを十分稼いでいるか
2 チェック2:設備投資は適正に行われているか
3 チェック3:M&Aや財テクに走りすぎていないか
4 チェック4:資金は足りているか
5 チェック5:手元のキャッシュは増えているか
6 ステップ4のまとめ
2-6 定量評価(バリュエーション)
1 ポピュラーなPER
2 バリュー投資と関連が深いPBR
3 企業価値ベースのEV/EBITDA倍率
練習問題&回答と解説
第3章 バリュー投資家の新しい武器「PMVとカタリスト」
3-1 PMV(事業家的市場価値)とは
1 新しいバリュエーション
2 事業家的発想によるPMV
3 支配権プレミアム
4 本質価値の計算
5 事業や営業に関わるデータ
3-2 カタリストとは
1 2つのカタリスト
2 企業に固有のカタリスト
3 環境カタリスト
4 ケーススタディ
3-3 PMVの実践
1 PMVを実践するには
2 実践例:大和証券グループ本社
3 実践例:ニッセンホールディングス
第4章 良いビジネスを見つけるための定性分析「事業環境の見極め方」
4-1 定量分析と定性分析は車の両輪
1 定量分析と定性分析
2 決算書からも定性分析はできる
4-2 セグメントを分析する
1 「何を」売っているのか
2 「どこに」売っているのか
4-3 プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)
1 製品ライフサイクル(PLC:Product Life Cycle)
2 キヤノンの事業を製品ライフサイクルに当てはめる
3 経験曲線(エクスペリエンスカーブ)
4 PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)とは
4-4 ファイブフォース分析
1 5つの競争要因をチェックする
2 参入障壁・撤退障壁から考える
3 キヤノンの競争要因をあぶりだす
4 キヤノンのファイブフォース分析
4-5 ビジネスモデルを確認しよう
1 3つのビジネスモデル
2 キヤノンを3つのビジネスモデルに当てはめてみる
3 収益の安定性を考える
練習問題&回答と解説
第5章 高く売るために確認したい「潮の流れ」
5-1 株価を決めるのはファンダメンタルだけでない
5-2 マーケットには潮の流れがある
1 信用創造
2 信用膨張
3 信用収縮
4 気をつけたい信用収縮時の投資
5 信用膨張時は我慢が必要
6 潮の流れを見よう
5-3 今までの信用収縮パターン
1 アジア通貨危機
2 エンロン、ワールドコムショック
3 サブプライム問題
4 3つの危機の共通点
5 大手銀行株の株価推移で知る
6 恐怖指数で知る
5-4 「潮の流れ」を読む方法
1 底値圏
2 上げ相場
3 天井圏
4 下げ相場
5 原因は「私たちの心の中にある」
第6章 みんなの気持ちがわかると儲かる「市場心理」
6-1 砂上の楼閣
1 2つのアプローチ
2 投資家ケインズ
3 かの有名な「美人投票」論
4 軽視できない「砂上の楼閣」理論
6-2 行動ファイナンス
1 自信過剰
2 自己正当化
3 代表性
4 損失回避願望
5 群集心理
6 行動ファイナンスのまとめ
6-3 ほかの投資家との付き合い方
1 株式投資とダイエットの共通点
2 社交性という本能が邪魔をする
3 インターネットが時代を変えた
4 みんなで同じことをして、そして誰もいなくなった
5 投資とは孤独な作業である
6 株式投資を趣味にしてはいけない
練習問題&回答と解説
第7章 倍株を見つけるための「銘柄探しのヒント」
7-1 銘柄の見つけ方
1 使わない方法
2 使っている方法
3 初心者時代に行っていた方法
4 結局は、地道な努力の積み重ね
7-2 避けるべき業種とその理由
1 私はこの業種を避けている
2 「息切れ型成長株」は避けよう
3 景気循環株はタイミング次第
4 コモディティ企業も避けよう
5 理想のビジネスモデル
7-3 大きな流れをとらえよう
1 私が2003年に考えたこと
2 私が今(2008年)思っていること
7-4 いつの時代にも通じること
1 私が探している投資対象
2 斜陽産業の成長株
3 関所型企業
4 苦痛関連企業
5 「今、買われていないものは何か」という視点
第8章 こんな会社にだまされるな「悪い会社を見破る方法」
8-1 業績悪化企業にはパターンがある
1 メタボと決算書の共通点
2 貸借対照表の劣化を見抜けば大損は避けられる
8-2 見せかけだけのV字型回復 K社
1 決算書表紙をチェックする
2 変更箇所をチェックする
3 損益計算書をチェックする
4 キャッシュ・フロー計算書をチェックする
5 K社のまとめ
8-3 過剰在庫という時限爆弾 T社
1 決算短信の表紙をチェックする
2 連結財務諸表作成のための基本となる事項の変更
3 貸借対照表をチェックする
4 損益計算書をチェックする
5 キャッシュ・フロー計算書をチェックする
6 T社のここまでのまとめ
7 予見は可能であったか?
8 貸借対照表には、明らかに危険な兆候が表れていた
8-4 無形固定資産の恐ろしさ N社
1 急膨張するバランスシート
2 監査法人からのイエローカード
3 一転して債務超過に
4 N社のまとめ
練習問題&回答と解説
あとがき
著者紹介
角山智(かどやま・さとる)
個人投資家。建築資材メーカーのシステム部門にてSE(システム・エンジニア)として17年間のサラリーマン生活を送る。週末を利用したバリュー投資により、ここ3年間で資産を4倍に増やした。2005年11月より独立。
著書『超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術』(秀和システム刊)はブルベア大賞2005を受賞。他にも『株価4倍「割安成長株」で儲ける収益バリュー投資術』(秀和システム刊)が多大な支持を集める。日経マネー、ダイヤモンドZaiなど、掲載誌多数。
(現代の錬金術師シリーズ61)
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