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糸山英太郎 金儲け哲学

金儲け哲学

ベテラン度: ★☆☆
糸山英太郎
かんき出版
四六判 272頁 2002年6月発売
本体 1,600円  税込 1,760円  国内送料無料です。
品切れのためご注文いただけません。 (発送可能時期について)

平成十四年六月四日、私、糸山英太郎は還暦を迎える。生まれ年は昭和十七年。父は、昭和四十四年に所得日本一になった大金持ち、佐々木真太郎である。姓が違うのは、私が異母子だからだ。

私は現在、フォーブス誌が報じる「世界の億万長者たち五百人」で一一八位にランクインする金持ちだそうだ。同誌がどう計算したものかよくわからないが、私の推定資産は日本円に換算すると四一五〇億円(二〇〇二年三月時点)だという。ここ二十年、日本人では唯一私だけが、フォーブスのランキングで百位前後のところに毎年顔を出す“常連の金持ち”とされている。

たしか昨年の発表では三八〇〇億円、一昨年は三〇〇〇億円だったか。不況をかこち、資産デフレに喘ぐ世の中にあって、私のように資産が上昇を続けている人は珍しいと聞く。何も私は、このことを自慢しようというのではない。還暦を迎えて感傷的になっているせいか、無借金の健全経営で事業を成長させてきたこと、負けなしのダイナミックな投資を通して株式市場で堂々闘い、資産を増やし続けてきたことなどを思い起こし、ちょっとシミジミするだけである。

思えば、私が社会人としてのスタートを切ったのは昭和三十四年、二十歳のとき。大学卒初任給と同程度、月給二万円の外車セールスマンとして雇われたのが始まりだ。その後、父の会社に入社し、ゴルフ場のキャディから、ビジネスの中核を担う実業家に這い上がった。他方、株の仕手戦に勝って、笑いが止まらないほど、大きく儲けた。二十代の十年間、がむしゃらに働いた結果、三十歳になるころには資産数十億円の金持ちになったのである。

しかし、三十〜四十代は政治家として国益のために東奔西走するなかで、カネを使いまくった。それでも、ビジネスと株は“儲かる基調”をきっちり維持し、高度経済成長期の追い風を受けたおかげもあって、私の資産は「カネがカネを生む」方式で順調に増え続けた。三十代で数十億円、四十代で数百億円と私の資産は、相変わらず右肩上がりの成長を見せた。そして、政治家を引退した五十四歳を境に、私は事業家、投資家に返り咲いた。父の会社の株をすべて自分のカネで買い取り、新日本観光グループのオーナーになった。

現在、私は合計二百七十ホールのゴルフ場を運営する新日本観光株式会社の会長・社長、レストランや日本料理店等五店舗を展開しているJFM(ジャパン・フード・マネジメント)の会長、新日本観光USAの会長、湘南工科大学の理事長・学長を務めている。と同時に、株の世界ではコーポレート・ガバナンス(企業統治)を志向する投資に注力。JAL(日本航空)の筆頭株主、三菱重工の個人筆頭株主として、また新日鐵や野村證券等、日本を代表する企業の大株主として、「稀代の投資家」と称される腕をふるっている。

最近では、JALとJAS(日本エアシステムズ)との統合を応援するなど、日本の航空業界再編に向けて動いた。JALはナショナルフラッグであるにもかかわらず、あまりの体たらく。私が十年がかりでJAL株をコツコツと買い集め、六千万株以上を保有する筆頭株主となったのは、オーナー同然の権利を得てJALの経営に切り込み、日本の航空業界を救うことが目的であった。

ざっと振り返ると、五十代にして資産四千億円余りを手にした私の六十年は、まさにカネを儲け続けた日々だったように思う。そして還暦。「六十代に突入するこれからは、世界のために、日本の政治と経済のために、大衆のためにカネを使う。儲けを社会に還元する」決意を新たにしている。

資産をうんと残して死んだところで、税金として政府に納めれば、私の大切なカネはロクな使われ方をしまい。“死に金”になる恐れさえある。年間数十億円収めている税金で十分、国の税収に貢献していることだし、これ以上「何に使われるのかわからない」カネを国に投じる気持ちはない。自分で自由に「生きたカネの使い道」を探り、実行したほうが数段、世の中の役に立つ。自分自身の生きがいにもなる。

もっとも私のことだから、慈善事業と思って始めた事業でも、またカネが儲かってしまうかもしれないが。よく「これ以上カネを儲けて、どうするんですか?」と尋ねられる。私は「カネ儲けに終わりはない」と答える。なぜなら、カネは己を飛躍成長させる“原資”となるからだ。

人間は死ぬまで、より大きく成長することを目指して勉強する動物だ。ならば一生、せっせとカネ儲けすべきではないか。そして、儲けたカネを生きがいに使うべきではないか。だから私は、「カネ儲けがなぜ悪い」と言うのだ。これから私は、儲けたカネを、世の中を良くするために使う。それを生きがいとする。それなら、まだまだ儲けてもバチは当たるまい。

私の願いは、死して後に「糸山はカネ儲けもうまかったが、ロマンもあった。信念を貫いた男だった」と言われることだ。銅像を作ろうなどとは、これっぽっちも思わない。あんなものは十年も経てば、小便をひっかけられるだけではないか。

六十歳から二十年構想でカネを使う、その詳しい計画は終章に譲るが、還暦を一つの節目に、私の「カネに翻弄され、カネを手懐けた」六十年、別の言い方をするならば「惜しみなく人とカネを愛した」六十年を一冊の本にまとめることにした。

これが「金持ちになりたい」多くの人の参考になるかどうかはわからない。ただ私は、還暦を「三度目の成人式」と捉え、ここからさらに飛躍しようとする“若者”として、これまでの人生の一つのモニュメントになる書にしたいと思う。

(以上、本文より抜粋)

目次

序章 還暦〜三回目の成人式〜を迎えて
第一章 カネの威力を思い知った「青春時代」
第二章 カネが儲かる「糸山商法」
第三章 実業界と政界を騒然とさせた「糸山マネー」
第四章 糸山の投資、ビジネス、カネはいま…
第五章 糸山流カネ儲け術
第六章 糸山流カネの使い方
終章 糸山のカネ「大放出計画」
惜しみなく人とカネを愛した六十年 〜あとがきにかえて〜

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本田宗一郎の哲学


梶原一明 PHP研究所
四六判 237頁 2002年3月発売
1,540円 国内送料無料 すぐ発送
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