人類初の南極越冬船 ベルジカ号の記録
ジュリアン・サンクトン,
越智正子
パンローリング
四六判 448頁 2022年12月発売
本体 2,000円 税込 2,200円
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11カ国語に翻訳されたベストセラー。
徹底した取材による波瀾万丈のサバイバル・ストーリー
軟禁状態からくるストレス、孤立感、寒さ、そして恐怖、
極限を体験すると人はどうなってしまうのか?
1897年8月、ベルギー南極探検隊は、純白の荒野で極点を征服するという野望に燃えてアントワープを出発した。だが船はベリングスハウゼン海の氷で身動きがとれなくなり、極夜が何カ月も続く南の果てでの越冬を余儀なくされる。暗闇のなかで原因不明の病に苦しめられ、船倉に巣くうネズミの鳴き声に心をむしばまれ、狂気の淵へと追いやられる男たち。
この壮大な史実を通して著者ジュリアン・サンクトンは、予測不能の窮地にたたき込まれていく探検隊の運命をひもとく。危機に直面して動揺する乗組員たち。そんななか、船長は2人の若き隊員に信頼を寄せていく。その2人とは、氷に閉ざされながらも固い友情を育んだ医師フレデリック・クックと一等航海士ロアール・アムンセンだ。貧困から身を起こしたアメリカ人のクックは、のちにペテン師の烙印を押されてベルジカ号の栄光に影を落とす。アムンセンは探検家として頭角を現し、キャプテン・スコットと南極点一番乗りを競って勝利を収め、伝説の存在となる。2人は力を合わせ、最後の望みをかけて氷から脱出するための策を練る。歴史に残る英雄になれるのか、凍れる海の藻くずと消えるのか…。
隊員たちの直筆の日記や特別に閲覧を許された航海日誌の記述から、海洋サスペンスやゴシックホラーのような物語が浮かび上がる。果てしない世界への忘れられない旅の物語だ。
■本書への賛辞
「ホラー小説のような実話が心を奪う…丹念な取材と隙のない筆致でつむがれる史実は、恐怖小説の古典のような趣だ」――ウォルター・アイザックソン(ジャーナリスト、『スティーブ・ジョブズ』[講談社]の著者)
「ここ数年で最も魅了され恐怖を味わった冒険談。見事な語り口で記憶に刻まれる物語」――スコット・アンダーソン(戦場ジャーナリスト、『ロレンスがいたアラビア』[白水社]の著者)
「心をとらえるサバイバルストーリーであり戦慄の心理スリラーでもある。夢中にさせ、ページをめくる手が止まらない」――ナサニエル・フィルブリック(歴史作家、『白鯨との闘い』[集英社])の著者。
「近年読んだ中でも、この探検旅行の?末には背筋が凍った。最初から最後まで心を捕らえて放さない」――ローレンス・オズボーン(ジャーナリスト、作家、『ただの眠りを』[早川書房]の著者)
著者紹介
ジュリアン・サンクトン(Julian Sancton)
ハーバード大学で歴史学を専攻。雑誌『デパーチャーズ』の特集記事編集次長を務め、カルチャーや旅行をテーマに執筆。雑誌『ヴァニティ・フェア』『エスクァイア』『ザ・ニューヨーカー』『ワイアード』『プレイボーイ』などにも寄稿。パリ、ニューヨークで育ち、本書の取材で初めて訪れた南極を含め世界各地を取材。
原題:Madhouse at the End of the Earth: The Belgica's Journey into the Dark Antarctic Night by Julian Sancton
訳者紹介
越智正子(おち・まさこ)
出版翻訳家。東京大学法学部卒業。全国紙の社会部などで勤務後、フェロー・アカデミーでノンフィクション、フィクションの翻訳を学ぶ。
目次
プロローグ
[第1部]
第1章 ベルギーだってやれる――アドリアン・ド・ジェルラッシュ
第2章 黄金やダイヤモンド――フレデリック・クック
第3章 ネプチューンの祭り――ロアール・アムンセン
第4章 対決
第5章 戦わずして敗北
第6章 犠牲者一名
第7章 地図にない領域
第8章 南へ!
[第2部]
第9章 氷に閉ざされて
第10章 最後の日没
第11章 南の果ての弔い
第12章 散歩する病人たち
第13章 ペンギン騎士団
第14章 錯乱
第15章 太陽の下の闇
第16章 人間 vs. 氷
第17章 最後の攻防
第18章 鏡の中の見知らぬ人々
終 章 ベルジカ号、遙か――その後の隊員たち
著者あとがき
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