2010年6月に、世界的に有名なプロポーカープレイヤーであるフィル・ゴードンさんのテキサスホールデムに関する著作(通称グリーンブック)が、日本屈指の女性プロポーカープレイヤー佐藤友香さんらの翻訳で出版された。このグリーンブックは私がWSOPメインイベントに入賞した2005年にアメリカで刊行されたもので、私もラスベガスで購入し、読み込んだ本当に良い本だ。
ところが、日本語版では入門編とうたっている。グリーンブックが入門書だったら、読んであきらめてしまう読者がたくさんでてくるだろうという懸念をもった。発行元であるパンローリング社編集部の徃住さんにあったときに、その旨を話したところ、それでは、グリーンブックにつなぐ本当の初心者・初級者向けの本をだしてみないかと誘われた。こうなれば、乗りかかった船である。書きましょうと即刻返事してしまった。興味のあることには後先考えず突っ走ってしまう性格なのである。
安請け合いしたのは良いが、それからが大変であった。
私がポーカーを覚え、プレイし始めたのは20年以上前である。ホールデムをプレイし始めてからでも10年以上たっている。初心者時代のことを思い出そうとしても思い出せない。他方、ちまたに多数刊行されているゲーム紹介本のように、ゲームのやり方やルールなどを紹介するだけの本にはしたくない。どうすれば、初心者・初級者の立場にたった本ができるか悩んだ。
悩んでいるうちに、ハッと気がついた。初心者のことは初心者に聞けば良いのだ。初心者に本当に教えることで、初心者の素朴な疑問にも答えられる。
そして苑武れむさんの顔がうかんだ。れむさんは、ポーカーを覚えたいと弟子志願してきていたのだった。
それから、2ケ月にわたり毎週2時間講義をおこなった。本書はその講義をもとに書いたものである。
本書は、下記のような多数の方々のご協力でできました。略儀で申し訳ないのですが、本文で感謝を表したいと思います。
実質的に監修をしてもらった、日本プロポーカー協会理事長で現AJPCトーナメントディレクターの奥 良隆さん。奥さんは、2009年WSOPの2-7ドローイベントの準優勝者田中政慶さんとともに、本書の続編にあたる上・中級者向けの戦略本を執筆中とのことです。本書の読者の皆さんは、本書読了後、実戦をこなし奥さんの本を読破すれば、実力ある一人前のポーカープレイヤーになることは間違いないと思います。
本書のゲラを丹念に読んでいただき、あたたかいお言葉をいただいた日本人最高累計賞金獲得ポーカープレイヤーであるMotoyuki Mabuchiさんと、名人戦や最高位戦など麻雀のタイトルを多数獲得している金子正輝プロ。
講義の会場を提供してくれたJUPを主催するポケットエース社の深谷社長
本書の趣旨に賛同いただき、れむさんをあたたかく送り出してくれた、ゼロページ社の寺崎社長とアキバRPG雀荘てんぱねのスタッフのみなさん
本書を書くきっかけを与えてくれ、執筆中は叱咤激励して完成まで導いてくれた、パンローリング社編集部の徃住さんと西澤さん。
皆さま、本当にありがとうございました。
2010年 盛夏
ポーカー侍 こと 渡 邉 元