トレンドフォロー戦略の理論と実践 金融危機に負けない賢者の投資法
アレックス・グレイザーマン博士,
キャスリン・カミンスキー博士,
井田京子
パンローリング
A5判 上製本 574頁 2019年9月発売
本体 5,800円 税込 6,380円
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トレンドフォロー戦略の言われなき批判は正当か?
過去800年以上にわたって利益を上げ続けてきた!
クライシスアルファを極める
読者のご意見
トレンドフォロー戦略は古くからある投資スタイルの1つで、「トレンドがあれば、それに乗る」という言葉で象徴されるように、何世紀にもわたって受け継がれてきた。トレンドフォロー戦略の概念は非常にシンプルである。トレンドが発生すればそれに乗り、トレンドがなくなれば、そこから降りるだけである。
ただ、この単純さにもかかわらず、あるいはこの単純さゆえに、この戦略は新古典派をはじめとする多くの経済学者や市場関係者やマスコミから、言われなき批判を浴びてきた。結果を出していてもなお、トレンドフォロー戦略は厄介な投資スタイルだとして避けられてきた。彼らは今もなお、効率的市場という幻想にとらえられ、エクイティプレミアムの価値を押し付け、長期間のバイ・アンド・ホールドの重要性を主張しているのだ。
この20年間、株式市場は激しいバブルと崩壊のサイクルを繰り返してきた。トレンドフォロワーたちはさまざまな市場でトレンドに乗ってきたが、彼らの手法はこの激しいバブルと崩壊のサイクルとは相関性がないように見える。また、ドローダウンもバイ・アンド・ホールドのほうがアップダウンが激しい。もちろん、長期投資にもたくさんの利点はあるだろうが、この単純な長期投資でさえ、かなりの乱高下に耐えなければならなかったのも事実だ。反対に、トレンドフォロー戦略はドローダウンがむしろ安定しているのである。
長年、批判されてきたトレンドフォロー戦略だが、本書では、「歴史的な視野」「トレンドフォロー戦略の基本」「理論的な基盤」「代替資産クラスとしてのトレンドフォロー戦略」「ベンチマークとスタイル分析」「投資ポートフォリオのなかのトレンドフォロー戦略」の各部を通じて、効率的市場やエクイティプレミアムやバイ・アンド・ホールドなどの概念を補完するものであることを明らかにしていく。
■本書への賛辞
「素晴らしい。過去800年以上のトレンドフォロー戦略に関して、理論から実践まで知りたいことがすべて書いてある。CTAとの契約や解約を考えている人は、まず本書を読むべき」――エド・ロバーティエロ(公認ファイナンシャルアドバイザー、カリフォルニア州職員退職年金基金、絶対収益戦略担当シニア・ポートフォリオ・マネジャー)
■著者紹介
アレックス・グレイザーマン博士(Alex Greyserman)
ISAMのチーフ・サイエンティストで、マネージドフューチャーズ運用の研究責任者としてミント・インベストメント・マネジメント(世界最初のマネージドフューチャーズ顧問会社で運用資産は10億ドル超)に入社して以来、ヘッジファンド業界で25年以上の経験がある。ミントではトレード戦略の研究開発とポートフォリオ全体のリスク管理の責任者を務めた。2001〜2010年には、ハイト・キャピタル・マネジメント(システマティック戦略に特化したファミリーオフィス)で最高投資責任者としてラリー・ハイトと共に働き、2010年にハイト・キャピタルはISAMと合併した。ヘッジファンド業界に入る前は、複数の会社のエンジニア部門で働き、最後はRCA研究所で信号処理の分野にかかわっていた。
グレイザーマンは、ラトガース大学で数学の学士号、コロンビア大学で電子工学の修士号、ラトガース大学で統計と管理科学の博士号を修得した。論文のテーマは、実証データ分析と、ベイズ統計学のポートフォリオ選択への応用。2001年以降は、コロンビア大学大学院で金融工学の非常勤教授として、量的投資管理の分野のさまざまな講座やセミナーで教えている。
キャスリン・M・カミンスキー博士(Kathryn M. Kaminski)
インスティチュート・フォア・ファイナンシャル・リサーチ(SIFR)のマネジングディレクター代理で、ストックホルム商科大学のファイナンス学客員教授。それ以前は、MITスローンスクール・オブ・マネジメントの上級講師や、スウェーデン王立工科大学(KTH)の客員教授も務めた。また、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)グループの外部コメンテーターや、インスティチューショナル・インサイトではユーレックス・グループのクリアリングや交換所について執筆しているほか、数々の論文を業界誌や学術誌に発表している。2008〜2012年は、CTA(商品投資顧問業者)ファンド・オブ・ファンズやリスクとポートフォリオ管理(RPM)の上級投資アナリストも務めた。債券や信用の計量分析アナリストの経験もある。
カミンスキーの研究分野は行動ファイナンス、トレンドフォロー戦略、マネージドフューチャーズ、システムトレード、資産配分、デリバティブ、ポートフォリオ管理などに及ぶ。MITで電子工学の理学士(2001年)、MIT(マサチューセッツ工科大学)スローンスクール・オブ・マネジメントでオペレーションズリサーチの博士号(2007年)を修得。論文の指導教官はアンドリュー・ロー教授で、そのときのテーマは損切り戦略と金融ヒューリスティクス。PAAMXOとCAIAが主催する100ウーマン・イン・ヘッジ・ファンドにも選ばれている。
原題:Trend Following with Managed Futures : The Search for Crisis Alpha by Alex Greyserman and Kathryn M. Kaminski
■目次
監修者まえがき
まえがき
序文
序論
第1部 歴史的な視野
第1章 過去800年におけるトレンドフォロー戦略
トレンドフォロー物語――歴史の研究
リターンの特性の変化
数世紀に及ぶトレンドフォロー戦略のリスク特性
数世紀に及ぶトレンドフォローポートフォリオのメリット
まとめ
付録――検証に含まれる市場と前提条件
第2部 トレンドフォロー戦略の基本
第2章 先物市場と先物取引のおさらい
先渡し取引と先物取引の基本
マネージドフューチャーズ業界のおさらい
マネージドフューチャーズ業界のおさらい
先物化
まとめ
第3章 システム的なトレンドフォロー戦略の基本
トレンドフォローシステムの基本的な構成
戦略の分類と主な違い
トレンドフォローシステムの分類
まとめ
第3部 理論的な基盤
第4章 適応的市場とトレンドフォロー戦略
適応的市場仮説
投機的なリスクテイキングの枠組み
クライシスアルファの詳細
まとめ
第5章 ダイバージェンスとトレンドのトレード可能性
リスクと不確実性
コンバ―ジェンスとダイバージェンス
ポートフォリオのレベルで市場のダイバージェンスを測定する
市場のダイバージェンスの定常性を試す
トレンドのトレード可能性
仕掛けと手仕舞いはどちらが重要か
まとめ
第6章 金利とロールイールドの役割
担保利回り
ロールイールドと現物価格に分解する
まとめ
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第4部 代替資産クラスとしてのトレンドフォロー戦略
第7章 トレンドフォロー戦略のリターンの特性
代替資産クラスとしてのトレンドフォロー戦略
クライシスアルファ
クライシスベータ
主な統計的性質
まとめ
付録――一般的なパフォーマンスの基準
第8章 ドローダウンとボラティリティと相関性の特徴
ドローダウンの性質を理解する
トレンドフォローポートフォリオのボラティリティ
ポートフォリオレベルにおける相関性と分散
まとめ
第9章 トレンドフォロー戦略の隠れたリスクと明確なリスク
方向性戦略と非方向性戦略のおさらい
隠れたリスクと明確なリスクの定義
シャープレシオの通説と神話性
動的なレバレッジの隠れたリスクを解明する
まとめ
第10章 さまざまなマクロ経済環境におけるトレンドフォロー戦略
金利環境
規制の力と政府の介入
危機後の回復
まとめ
第5部 ベンチマークとスタイル分析
第11章 リターンのばらつき
戦略の分類とリターンのばらつき
資本配分とポジションサイズを詳しく調べる
投資家から見たリターンのばらつき
相関性のあるリターン系列について実証的・理論的に考える
まとめ
第12章 指数とスタイルファクターの構築
ダイバージェントリスクテイキングのおさらい
ダイバージェントなトレンドフォロー戦略を定義する
スタイルファクターの構築
スタイルファクターの特徴
まとめ
第13章 ベンチマークとスタイル分析
リターンに基づいたスタイル分析の枠組み
CTA運用会社ごとのスタイル分析
市場規模ファクターのセクターレベルの分析
スタイル分析の分類
運用会社の選択と配分
まとめ
第6部 投資ポートフォリオにトレンドフォロー戦略を組み込む
第14章 ポートフォリオにおけるトレンドフォロー戦略
クライシスアルファを詳しく見る
時価評価が相関性に与える影響
ボラティリティの周期性を理解する
まとめ
第15章 運用規模と流動性と市場規模の実用性
運用規模は重要か
流動性が低い市場の影響
まとめ
付録――銘柄コードと名称
第16章 分散先を分散する
純粋なトレンドフォロー戦略からマルチ戦略へ
マルチ戦略に移行したポートフォリオの分析
低ボラティリティ戦略でレバレッジをかけた場合の隠れたリスク
まとめ
第17章 トレンドフォロー戦略への動的な配分
動的な配分の枠組み
トレンドフォロー戦略のリターン系列の平均回帰
動的配分戦略への投資
まとめ
付録――トレンドフォロー戦略の平均回帰の理論的な分析
用語集
著者について
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立ち読みコーナー(本テキストは再校時のものです)
■監修者まえがき
本書はアレックス・グレイザーマンとキャスリン・M・カミンスキーが著した“Trend Following with Managed Futures : The Search for Crisis Alpha”の邦訳である。原書のタイトルの「マネージド・フューチャーズ」とは、先物を主な売買対象とした集団投資スキームのことを指しており、主要な代替投資手段としてアメリカにおいて長い歴史を持っている。本文中に紹介されているように、トレンドフォロー戦略は、伝統的な投資資産とは独立したリターン出力系列を持ち、その分布はポジティブスキューを成すこと、さらに金融危機の際に優れたパフォーマンスをもたらすクライシスアルファを内包していることが知られている。このため、投資ポートフォリオの一部をトレンドフォロー戦略に振り分けることで、全体としてのリスク・リワード特性が向上し、さらにドローダウンが抑えられることになる。
このように、トレンドフォロー戦略は常識的に考えれば良いことずくめの投資手段であるが、その価値や歴史の長さに比して日本での存在感は希薄である。その理由はさまざま考えられるが、一般的な解釈(アカデミックな研究による)では、射幸心が強くギャンブル性の高い投機を好むアジア人にとって、トレンドフォロー戦略のような地味な投資はつまらないからであるとされている。だがこの問題の本質は、唯一の正解を常に欲しがる日本人のメンタリティにあると私は考える。(つづきを読む)
■まえがき by アンドリュー・W・ロー
学者が教え子の書いた本のまえがきを依頼されるのは、めったいない喜びであり、名誉なことである。この感じは、親が子供の前途を期待しながら大学や仕事に送り出すのと似てなくもない。ただ、私はカミンスキーに親というほどのことをしていない。10年以上前に彼女が初めて私の部屋を訪ねてきたとき、彼女はすでに数学と統計学とオペレーションズリサーチの経験を積み、ファイナンス学を熱心に学んでいた。MIT(マサチューセッツ工科大学)の多くの生徒と同じく、彼女も自ら学び、私も多少の助言はしたが、ほとんどは彼女の邪魔をしないように観客席から声援を送っていた。
ウォール街の経験が豊富で統計学博士でもあるアレックス・グレイザーマンと共同執筆した本書は、長年にわたり金融業界で埋もれていた投資戦略を、興味深く、タイムリーに検証している。これまでトレードフォロー戦略は、いくつかの理由で投資やポートフォリオマネジャーの主流派から不当な非難を受けてきた。もしかしたらその最も分かりやすい理由は、芸術でも科学でも創造的な試みにおいては独自性が好まれるからかもしれない。なぜ独自の行動をとらずに群衆に従うのか、というのだ。
(つづきを読む)
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読者のご意見
なんて素晴らしい本だろう。本書を読んですぐの感想です。
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