本書は、一代で億万長者となった人々に関するスタンリー博士の画期的な著作から20年がたった現在のアメリカの富裕層を取り上げ、詳細に分析している。新世代の家庭の大黒柱たちは多くの金融情報にさらされているが、本書は富を得るために何が必要かという点について、あくまでデータに基づいた結論をもとに、自らの力で億万長者になった人たちの実例を見ていく。この研究では、蓄財につながる個人の判断や行動や性格とはいかなるものかを詳しく調査し、消費、予算設定、キャリア、投資、そして経済全般についても言及している。本書を読めば、今日、市場の状況やあらゆる費用の増大にもかかわらず、経済的成功を収めるためには何が必要かを教えてくれる。
その経済的成功のために最も大切なこととは、経済問題に対して規律ある行動を取り続けることによって、長期的に収入を資産へと変えることができるのだ。その方法とは以下のとおり。
目次
監修者まえがき
まえがき
第1章 となりの億万長者は健在なり
第2章 神話を無視する
第3章 富に対する影響
第4章 消費する自由
第5章 富を築くための力
第6章 仕事に就く
第7章 投資の財源
結論
付録A――調査方法について
付録B――個人事業主を収益率に基づいてランキングする(一九九六年と二〇一五年)
付録C――マス富裕層に属する蓄財優等生が行っている副業の例
付録D――となりの億万長者に見られる七つの要素
注
参考文献
監修者まえがき
本書は、トーマス・スタンリーならびにサラ・スタンリーの共著である“The Next Millionaire Next Door : Enduring Strategies for Building Wealth”の邦訳で、かつてベストセラーとなった『となりの億万長者』(早川書房)の続編に当たる。これらの書籍はアメリカの億万長者(驚くべきことに2017年現在、1150万世帯、つまり全米の九%がそれに該当する)が、どうやってその経済的成功に至ったのかを丹念に検証し解説したもので、前著が20年以上前の調査・データに基づいて書かれているのに対し、本書はそれを最新のデータで検証し直し、前著で述べられた考察・結論が社会環境の変化に耐えて今もって変わらないことを確認している。
アメリカで億万長者になった人々は、単に運が良い人でも高収入の人でもなく、収入の一部を消費せずに規律をもって別に取り分け、戦略的に投資に回すという行動を長期的に実行した人である。この事実は、私たち日本人を大変勇気づけることになる。もともと日本では家計の貯蓄率が高く、出費を抑制し、お金を貯めるという習慣を多くの人がすでに身に付けているからである。
一方で、勤勉で真面目な日本人は、富を増やすために懸命に働いたり、資格取得により人的資本の価値を高めようとしたりする。だが、だれしも漠然と感じているとおり、それらの尊い試みは現代の社会では不確実で、成功の可能性は必ずしも高くない努力である。現実的には、資金を単に預金口座に置くのではなく、リスクを承知で投資することだけが、階層や出自に関係なく経済的に安心できる富を築くという望みをかなえる唯一の手段である。私たちには自分自身に代わり、資本に働いてもらう投資という事業が必要なのである。(つづきを読む)
まえがき
わが父トーマス・J・スタンリーは、相続やその他多額の金銭的贈与に頼ることなく、経済的な独立と経済的成功を手にするための道筋を見いだし、光を当てるべく、およそ40年間にわたりアメリカの富裕層を研究してきた。その研究のなかで彼はいくつかの共通点を見いだしているが、お金持ちへの道のりは、さまざまなキャリア、消費行動、そして事業の選択を含め数多く存在することも理解していた。
著書『となりの億万長者』(早川書房)で証拠に基づいたファイナンシャルプランニングの原則がまとめられ、富を蓄積するための実証済みの道筋も極めて明解に記されているにもかかわらず、多くの人々が「どうして自分はお金持ちではないのか」と問い続けている。小規模事業主であろうが、教師であろうが、弁護士や営業マンであろうが、規律ある、整然とした方法こそが富の蓄積には有効であることが証明されている。父が『となりの億万長者』に記したとおり、「本書で取り上げた億万長者たちはゆっくりと着実にそれを成し遂げたのであって、ヤンキースと何百万ドルもの契約を交わしたわけでも、宝くじに当たったわけでも、次なるミック・ジャガーになったわけでもない」のだ。
このゆっくりと着実な方法は、新しいスキルを身につけたり、ダイエットをしたり、子供たちを育てたり、新しい事業を始めたりといった、人生における多くのチャレンジにも当てはまるものだ。大きな目標――そこには経済的独立も含まれる――を達成するためには、長きにわたる規律ある行動、自分の能力の把握、そして効率的な資源配分が求められるのだ。
だが、ある種のライフスタイル――大量に消費し、ステータスを誇示するライフスタイル――を求めることで、その旅路はわれわれのほとんどにとって難しいものとなる。安定的に現金が流入することなしに、ほかの人たちがやっていることや乗っている車や着ている服などに影響を受けるライフスタイルを維持することはほとんどの人にとって不可能である。多くの人たちが自分たちの現在の習慣を受け入れるのか、それを変えるための苦労を嫌がるばかりで、その間も不満を漏らし続け、よく他に依存し、気を揉むばかりの人生に陥りがちである。
なかには反論する人もいたが、父は世間知らずではなく、無一文から始めて驚くほどのお金持ちになれる可能性はさほど高くないことを明言していた。だが、行動がその人の環境を変えることを父の研究は何度となく証明していたし、彼の人生がまさにそうであったのだ。父は、経済的に自立し、その信じられないほど貧しい生い立ちを克服するために、常に、慎重にその行動様式を改めていたのだ。(つづきを読む)
(ウィザードブック306)
読者のご意見
子供や孫に伝える大切な事、そうでない事を学び、気持ちに余裕のある人生を作りたくなる本ですね。...