これからバフェットを知ろうと思う読者も、バフェットをよく知る読者も、バフェットの実績に圧倒されるばかりの読者も、分野別にカニンガム教授が要約・整理したバフェットの含蓄ある「株主への手紙」を文章を読めば、本書以外では絶対に知ることのできないバフェットやマンガーの深遠な知見に接することができるだろう。
監修者まえがき
本書は、ジョージワシントン大学のローレンス・カニンガム教授の著した“The Essays ofWarren Buffett, 5th edition”の邦訳である。カニンガム教授は、バークシャー・ハサウェイの年次報告書に記載された株主宛ての手紙から、経営学の観点で重要と思われるものを抜粋・整理し、バフェットの理念や哲学を広く社会に伝える作業を二〇年以上にわたって続けてきた。本書もそれに従い版を重ねてきており、あまたある「バフェット本」のなかでも、『バフェットからの手紙』は最も一次資料に近く、バフェットの考えを端的に示すものと認識されている。
一方で、バークシャーが達成したたぐいまれな成果に関しては、世にこれほど多くの識者による解説が展開され、さまざまな角度から分析がなされているのにもかかわらず、今もってその実態は正しく解釈され、援用されているわけでもない。おそらくこの背景にある原因は、そもそもバフェットは(狭義の)資産運用者ではないことにある。バフェットに関する一般的な評論のほとんどは、バフェットを投資家の枠内でとらえることで事の本質を見逃しているようだ。
実際にはバフェットは経営者であり、バークシャーは極めて合理的に経営されているコングロマリット企業である。したがって、その振る舞いを把握するための適切な道具は伝統的な資産運用の世界のモノサシではなく、経営学における学際的な知見や理論的枠組み、あるいは分析者による直接的な事業経験なのである。
私自身も『バフェットからの手紙』を初版から読んできたが、書かれている内容が文字どおり身に染みて理解できるようになったのは、小さいながらも自身の手で事業を行うようになってからである。その視点で見れば、バフェットの経営行動はまことに原理原則にかなった至極当たり前のことばかりであって、難しいことは何もやっていないことに気づく。その意味では、原書の副題が“Lessons for Corporate America”となっているのも当然であり、本書が想定する読者は投資家だけではなく、むしろ意欲ある経営者・事業家なのかもしれない。(続きを読む)
(ウィザードブック307)
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