システム検証DIYプロジェクト トレンドフォローシステムを毎日修正・更新する
ジョージ・プルート,
長岡半太郎,
山下恵美子
パンローリング
A5判 上製本 302頁 2021年4月発売
本体 5,800円 税込 6,380円
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トレードプログラミング界の泰斗による最高の教科書
《全ソースコードがDL可能》
プログラミング初心者に贈る入門バイブル!
ジョージ・プルートのトレンドフォロートレーディング・アルゴリズムの世界へようこそ!
本書では、ジョージ・プルートがPythonで書いたTradingSimula18バックテスターを使って、これらのシステムを記述、プログラミング、検証する。TradingSimula18はポートフォリオに含まれる各銘柄を毎日ループして、バックテストの最中にアロケーションを変更することができるのが特徴だ。セクター分析や銘柄やセクターのオン・オフなど、多岐にわたるトピックが満載である。
Pythonはオープンソースの言語で、今、最も人気があり、最も学びやすい言語だ。クオンツのための言語とも言えよう。しかし、Pythonが初めての人でも、本書には「Hello World」から、リスト内包表記(list comprehension)に至るまでのチュートリアルがすべて含まれているので、何の心配もない。「batteries are included」(データが含まれている)とあるように、プログラミングと検証を始めるのに必要なものはすべて本書に含まれている。読者がダウンロードするものは最新バージョンのPythonのみだ。タートルズ、ドンチャン、ボリンジャー、ケルトナー、3本や2本の移動平均など、あなたの好みのシステムもすべて本書のなかに含まれている。
含まれているのはこれだけではない。30もの銘柄の15年にわたる先物のつなぎ足データもプルートが正しく修正したものが含まれている。また、すべてのアルゴリズムはイージーランゲージでもプログラミングしているので、Pythonが嫌いな人でもまったく心配はいらない。
あとは、プルートが手取り足取り伝授してくれる検証DIYワールドへ、そしてあなただけのアルゴリズム開発の世界へ、旅立とう!
著者紹介
ジョージ・プルート(George Pruitt)
1990年、ノースカロライナ大学アッシュビルでコンピューターサイエンスの学位を取得。1000を超えるトレード手法をプログラミングした実績を持ち、さまざまな業界紙・雑誌に積極的に寄稿し、高い評価を得ている。著書に『究極のトレーディングガイド』『勝利の売買システム』『アルゴリズムトレードの道具箱』(すべてパンローリング)がある。
■立ち読みコーナー(本テキストは再校時のものです)
目次
監修者まえがき
序文
はじめに
第1章 TradingSimula18――例を使ってトレードアルゴリズムのプログラミング方法を学ぶ
TradingSimula18のスタータースクリプト
Python3.7のインストール
初めてのTradingSimula18スクリプトの実行
TradingSimula18のリポートの出力
トレンドフォローのサンプルスクリプト
利益目標とプロテクティブストップを使う
スカラー変数ではなくリストを使う
関数とクラス構造のインディケーターの簡単な紹介
第1章のまとめ
第2章 トレンドフォローアルゴリズム――チャネルとバンドと移動平均、準備はいいかな?
名目価値に基づくポートフォリオの正規化
ボラティリティに基づくポートフォリオの正規化
1トレード当たりのリスクに基づくポーフォリオの正規化
仕掛ける前のリスクコントロール
線形回帰を使って仕掛ける
スイングハイやスイングローを使って仕掛ける
押しや戻りを待って仕掛ける
複数の仕掛け――1つの頭より2つの頭のほうが良い?
第2章のまとめ
第3章 マネーマネジメント、ここからが楽しいところ――「グループのなかの最初のN」戦略
「グループのなかの最初のN」戦略
「グループのなかの最初の2」戦略
ポジションマトリックス
セクターの指定
トレードアルゴリズムにセクター分析を加える
銘柄の選好
「グループのなかの最初のN」戦略――別のアルゴリズムで検証
ポートフォリオの未決済トレードの資産に基づく銘柄のオン・オフ
最大含み損のトレードを手仕舞って、新たなシグナルを待つ
最大含み益のトレードを手仕舞って、新たなシグナルを待つ
保有のポジション数を限定することでマーケットイクスポージャーを限定する
crosses関数
Pythonのリストマジック
セクター内のトレード可能な2銘柄のうち同時に1銘柄しかトレードしない
第3章のまとめ
第4章 TradingSimula18の威力――トレード日の前に知るべきこと
トレード日の前に知るべきこと
1つの戦略で2つのアルゴリズムをトラッキングする
ADXを使ってアルゴリズムを使い分ける
ADXにアクセスして、2つのアルゴリズムを定義する
トレード日の前に損失に基づいて銘柄をオン・オフする
MarketMonitorクラス
クラスのデータと関数にアクセスするためのドット
トレード日の前にポートフォリオ全体をオン・オフする
セクターの平均ADXの値に基づいて毎月セクターをオン・オフする
ADXの値に基づいて個々の銘柄をオン・オフする
第4章のまとめ
第5章 過去にうまくいったトレンドフォローシステム――手始めとして打ってつけ
TF-System #1
週足と日足の両方を使う
TF-System #2
TF-System #3
TF-System #4
ウエルズ・ワイルダーのparabolic関数
TF-System #5――パラボリックとボリンジャーの組み合わせ
TF-System #6
月初めにポートフォリオに含まれるすべての銘柄のADXの値を調べて並べ替える
TF-System #7
ドミナントサイクルをアダプティブエンジンとして使う
TradingSimula18の限界
第5章のまとめ
第6章 データ、エディター、IDEほか
パナマバックアジャストつなぎ足データ
クアンドルデータ
あなた自身のASCIIデータを使う
クールなエディターとPythonのIDE
付録A TradingSimula-18のキーワードと予約語
付録B 無料のつなぎ足データ(クアンドルやそのほかのデータベンダーから収集)
付録C イージーランゲージコード
付録D 89/13ドンチャンシステムにマイケル・コベルのマネーマネジメントを加えたときの分析
付録E タートルズシステムをTradingSimula-18で書く
付録F TradingSimula-18のインディケーターモデュールとクラス
参考文献 本書の執筆に使った参考図書
監修者まえがき
本書はフューチャーズ・トゥルースの研究責任者であるジョージ・プルートによる“Trend Following Systems : A DIY Project - Batteries Included : Can You Reboot and Fix Yesterday's Algorithms to Work with Today's Markets?”の邦訳で、ここではPythonによる分散型トレンドフォローシステム(以下、DTFシステム)の構築法が解説されている。
DTFシステムは資産運用の歴史上初めて有効に稼働したデータドリブンのエキスパートシステムであり、PythonやR、C++は言うに及ばず、ExcelのVBAでも構築することができるが、これから始める人はPythonが最も無難かつ汎用性のある選択であろう。(続きを読む)
序文
1998年の春、私は東京湾を見下ろす広い重役会議室にいた。会議室には10人ほどの日本人CEO(最高経営責任者)、数人の当局者、1人の通訳がいた。前日の夜、ジョン・ヒルと私と日本人代表団の数人と和食料理店で非公式に集まって話をしたが、今日の会議に対する私の意気込みは、この非公式の集まりでぐらつくことはなかった。今日の会議ではまず参加者の紹介が行われ、そのあと日本のステーキハウスと本場アメリカのステーキハウスはどう違うのかについての雑談が行われた。雑談が終わると会議室は静まり返った。ヒルはあとでプレゼンテーションを行うことになっていたため、みんなの目は私に注がれた。私たちが名前や住所を記入している間に運ばれてきたレモネードとおぼしきものを、私は細長いグラスからごくりとひと飲みした。私の手は冷や汗でぐっしょり濡れ、マックのパワーブックのトラックパッドが汗ですべって作業ができなかったほどだ。
私が東京を訪れた目的は、メカニカルなトレードシステムを日本に売り込むことだった。日本の投資家やトレーダーもメカニカルなトレードシステムを使えばもっと効果的にトレードすることができるはずだと思ったのだ。
1998年当時、日本では先物トレードは依然としてギャンブルとみなされ、一般投資家は主として小豆、乾繭、日経平均などの日本の先物市場と、アメリカでトレードされているのに似た商品のみをトレードしていた。先物トレードは、テクニカル分析と同じく、日本が起源であることをほとんどの人は知らない。また、今ではローソク足は当たり前のように使われているが、ローソク足やローソク足パターンは江戸時代に日本人によって考案されたものだ。
完全にメカニカルなトレードシステムは当時の日本人トレーダーにとっては新しい概念だった。しかし、潮の流れは変わりつつあった。先物トレードと1990年代の新しいテクノロジーは日本の若い投資家の興味をそそった。チャンスによってお金を稼ぐことはタブーではなくなりつつあった。(中略)
あれから20年たった今、私がプレゼンしたシステムはいまだにトレード業界全体で使われている。システマティックトレードの概念は20年前も今も依然として目を見張るものだ。市場は24時間市場になり、ますます効率化され、参加者もはるかに増えた。まるでどのトレーダーもトレードステーションやIB(インタラクティブブローカーズ)口座を持っているかのようだ。クオンツたちも市場に参入した。コロケーションや高頻度トレードの話などする必要はないほどだ。
私が45度の傾きの資産曲線を示したとき、テーブルの周りいる参加者は笑顔になったという話をしたが、これらの曲線をもたらしたのは、「トレンドフォロー」という共通のコア概念を持つトレードアルゴリズムである。昔は「トレンドはあなたの友だち」だった。そしてそのあとも「トレンドはあなたの友だち」だった。友情は以前ほどではないにしても、今でもトレンドに頼ることができる。
1980年代のタートルズたちは今でもシステマティックトレンドフォローアプローチに重きを置き、ヘッジファンドやCTA(商品投資顧問業者)たちもみんなシステマティックトレンドフォローアプローチを使っているように思える。2004年、マイケル・コベルは『トレンドフォロー入門――トレンドの魔術師たちの売買戦略と成功の秘密』(パンローリング)という本を書き、大金持ちたちが大きな富を築いたのはトレードの歴史のなかで最も成功したトレード戦略を使ったからだという話を人々に思い出させた。(続きを読む)
(ウィザードブック312)
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