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1907年世界金融恐慌ベテラン度:
★★☆
ロバート・F・ブルナー,
ショーン・D・カー,
雨宮寛,
今井章子パンローリング 四六判 並製 384頁 2022年6月発売 本体 2,000円 税込 2,200円 国内送料無料です。 この商品は 11月25日に 発送できる予定です。 (発送可能時期について)
読者の声 リーマンショックの100年前に起きた世界恐慌の全貌著者が最初に本書を発行したのは、2007年。執筆を進めるなか、1907年当時の膨大な資料や研究結果から、著者は近い将来において別の金融危機が発生すると確信していた。そして折しも同年末から世界を巻き込むに至る「サブプライム危機」が発生。その内容は、1907年のそれとあまりにも酷似していたのである。本書は1907年に発生した金融恐慌のドキュメントである。世界大恐慌と言えば1929年が有名だが、FRB(連邦準備制度理事会)設立をもたらしたのが本書のテーマとなる1907のパニックだとなれば、その甚大さは容易に想像がつくだろう。本書は、当時の米国金融市場の背景や暴落の様子、緊迫する市場関係者の焦りや大衆心理が生々しく再現されているだけでなく、金融制度の変遷や金融史、さらに2007年のサブプライム危機との比較を通して、恐慌が起こる要因も知ることができる。 1900年当時米国では産業化が進み、その経済規模も拡大していた。1906年は楽観論に伴う好景気を迎えてはいたが、4月にサンフランシスコ大地震が発生。地震の被害もさることながら、火災による被害が甚大だった。多くの顧客を有していた保険会社は巨額の支払い義務が生じ、保有していた株を売却。さらに復興のために、米国は莫大な資金を調達する必要に迫られた。金融恐慌が起こる前年の時点で、すでに多くの銀行や信託会社が疲弊していたのである。 不安を抱えたままの1907年10月。ある男が富と名声を求めて株式市場に勝負を仕掛けた。この計画は思惑通りにはいかず、結局は失敗に終わる。計画に関与した強欲者たちが表舞台から撤退、で完結のはずだった。しかし、ここからドミノ倒し的に世界を巻き込む金融パニックへとつながっていくのである。当時の金融制度の脆弱さとさまざまな噂を盲目的に信じた大衆の預金引き出しが、現金の流通を止めてしまう。銀行に押し寄せた人々の列が外の通りを埋め尽くす。枯渇する現金、不安が不安を呼ぶ群集心理。政府による小手先の救済策では回避できない――。このとき辣腕を振るったのが、ジョン・ピアポント・モルガンである。当時70歳、引退も視野に入れていた実業界のドンは、それから約3週間、あらゆる力を使って米国経済を破滅から救っていった。 著者の調べによると1907年の金融恐慌あとの100年間で、米国は景気後退を19回、株式暴落を15回味わった。どんなに制度を整え、危機に備える体制を強化しても歴史は繰り返すのである、サブプライム危機のように。特に世界中が、経済も流通も情報もより密接になった現代、金融危機もけっして単独では終わらない。今後、大恐慌が訪れとき、J・ピアポント・モルガンのような独裁的なまでの指揮者は現れるだろうか。それを期待する前に、できる得る最善の方法は過去から学び、パニックに陥る側ではなくうまく立ち回る側として備えることである。 目次プロローグはじめに 金融恐慌の背景/パーフェクトストームの実体を探る 第一章 ウォール街の支配者たち 第二章 金融システムへの衝撃 第三章 「静かなる」暴落 第四章 やせ細る信用 第五章 富と名声を求め続けた銅の王者 第六章 買い占めと引き締め 第七章 ドミノ倒し 第八章 最後の貸し手、資金決済機構 第九章 ニッカーボッカー信託会社の繁栄と陰り 第十章 社長の不信任投票 第十一章 古典的な取り付け騒ぎ 第十二章 「支払い能力はあるのか」 第十三章 アメリカ信託会社の絶体絶命 第十四章 証券取引所の危機 第十五章 渦中のニューヨーク 第十六章 興奮のるつぼ 第十七章 二〇世紀のメディチ 第十八章 迅速かつ徹底的な救済 第十九章 絶望からの脱出 第二十章 後世への遺産 教 訓 「完璧な嵐」を生み出す七つの要素 一〇〇年後の考察 二〇〇七年サブプライム危機との類似 付録A 主要人物のその後 著者紹介ロバート・F・ブルナー(Robert F. Bruner)バージニア大学教授、同大ダーデン経営大学院名誉学長。企業金融、M&A、新興国市場投資など幅広い分野で研究論文を発表。著書に『Applied Mergers and Acquisitions』『Deals from Hell』がある。指導法や教材開発で広く認められており、『ビジネスウィーク』誌では「MBA講座の達人」の一人に挙げられた。1982年より、バージニア大学ダーデン経営大学院教授。イェール大学、ハーバード大学ビジネススクール卒業(修士課程および博士課程修了)。 ショーン・D・カー(Sean D. Carr) 訳者紹介雨宮 寛(あめみや・ひろし)コーポレートシチズンシップ代表取締役。アラベスク・グループ日本代表パートナー。明治大学公共政策大学院兼任講師。NPO法人ハンズオン東京副代表理事。コロンビア大学ビジネスススクール経営学修士およびハーバード大学ケネディ行政大学院行政学修士。クレディ・スイスおよびモルガン・スタンレーにおいて資産運用商品の商品開発を担当。2006年コーポレートシチズンシップを創業。CFA協会認定証券アナリスト。共訳書に、ピエトラ・リボリ著『あなたのTシャツはどこから来たのか?』、ロバート・ライシュ著『暴走する資本主義』『余震』『格差と民主主義』、レスリー・スコット著『ジェンガ:世界で2番目に売れているゲームの果てなき挑戦』(いずれも東洋経済新報社)など多数。 今井 章子(いまい・あきこ) (ウィザードブック331) そのほかのお薦め
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