リスク

◆リスク　ピーター・バーンスタイン著　日本経済新聞社本書はリスクとリターンという観点から、歴史上のさまざまな出来事、概念を考察した大著である。ここには過去において、リスクに関して色々な考え方が生起し、成功を収め、そして失敗に到った経緯が詳しく述べてあるが、”Against The Gods” という原題からも分かるように、それはある種、不可能への挑戦であり、P400にもあるように、我々読者は、「過去のパフォーマンスは将来に対しては脆弱なガイド役でしかない。」ことや、「成功する戦略は短命」であることを思い知らされることになるかもしれない。しかし、著者はこの本においてリスクを管理することの難しさや、その不確実性を明らかにするとともに、多くの有用な教訓をも引き出すことに成功している。なぜならいつの時代においても、リスクを取るのもリターンを得るのもそれはあくまで人間であり、そこには人間である以上、避けがたい性癖が存在するからなのだ。本書は、利益を得たいという欲望と、損失を被りたくないという恐怖との間でどう折り合いをつけていくか悩んでいる投資家には必読の書と言えるかもしれない。

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